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宛
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さ
ふりがな文庫
“
宛
(
さ
)” の例文
月光
(
げつくわう
)
其
(
その
)
滑
(
なめ
)
らかなる葉の
面
(
おも
)
に落ちて、葉は
宛
(
さ
)
ながら
碧玉
(
へきぎよく
)
の
扇
(
あふぎ
)
と
照
(
て
)
れるが、
其上
(
そのうへ
)
にまた黒き
斑点
(
はんてん
)
ありてちら/\
躍
(
おど
)
れり。
李樹
(
すもゝ
)
の影の
映
(
うつ
)
れるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「やい亀井、何しおる? 何ぢや、懸賞小説ぢや——ふッふッ、」と
宛
(
さ
)
も馬鹿にしたやうに
冷笑
(
せゝらわら
)
つたはズングリと肥つた二十四五の
鬚
(
ひげ
)
毿
(
くしや
)
々の書生で
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
遠く
連
(
つらな
)
れる
高輪白金
(
たかなわしろかね
)
の高台には樹々の
梢
(
こずえ
)
既
(
すで
)
にヤヽ黄を帯びて朝日に匂ひ、近く打ち続く
後圃
(
こうほ
)
の松林には
未
(
ま
)
だ虫の声々残りて
宛
(
さ
)
ながら夜の宿とも
謂
(
い
)
ひつべし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
是より一行又
河
(
かは
)
を
溯
(
さかのぼ
)
り、
日
(
ひ
)
暮
(
く
)
れて
河岸
(
かはぎし
)
に
露泊
(
ろはく
)
す、此日や白樺の樹皮を
剥
(
は
)
ぎ来りて之を数本の竹上に
挿
(
はさ
)
み、火を
点
(
てん
)
ずれば其明
宛
(
さ
)
ながら
電気灯
(
でんきとう
)
の如し、鹽原君
其下
(
そのした
)
に在りて
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
追
(
お
)
ひかけては
大溝
(
おほどぶ
)
の
中
(
なか
)
へ
蹴落
(
けおと
)
して
一人
(
ひとり
)
から/\と
高笑
(
たかわら
)
ひ、
聞
(
き
)
く
者
(
もの
)
なくて
天上
(
てんじやう
)
のお
月
(
つき
)
さま
宛
(
さ
)
も
皓々
(
こう/\
)
と
照
(
てら
)
し
給
(
たま
)
ふを
寒
(
さぶ
)
いといふ
事
(
こと
)
知
(
し
)
らぬ
身
(
み
)
なれば
唯
(
たゞ
)
こゝちよく
爽
(
さはや
)
かにて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
五月雨
(
さみだれ
)
で田圃が白くなり、
雲霧
(
くもきり
)
で遠望が煙にぼかさるゝ頃は、田圃の北から南へ出る
岬
(
みさき
)
と、南から北へと差出る
𡽶
(
はな
)
とが、
宛
(
さ
)
ながら入江を
囲
(
かこ
)
む崎の如く末は海かと疑われる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
地殻を破つて突き出た様な隠元の芽生えが、漸く葉並を揃へて幾筋もの直線の行列を作ると、地の面は、
宛
(
さ
)
ながら可愛い乙女達のマツス・ゲエムを見る様に、希望と歓喜とに満される。
百姓日記
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
西比利亜では犬を「エンヌ」といふさうで
語音
(
ごいん
)
が
稍
(
や
)
や似通つておる。或は日本犬と同種族であるまいかといふ説があるさうだが、如何さま
宛
(
さ
)
もありさうな事だ
哩
(
わい
)
。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
薄
(
うす
)
き影と、
薄
(
うす
)
き光は、
落花
(
らくゝわ
)
点々
(
てん/\
)
たる庭に落ちて、地を歩す、
宛
(
さ
)
ながら
天
(
てん
)
を
歩
(
あゆ
)
むの
感
(
かん
)
あり。
花月の夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
豪徳寺
(
ごうとくじ
)
附近に来ると、自動車は
一
(
ひと
)
かく入れた馬の如く、
決勝点
(
けっしょうてん
)
を眼の前に見る
走者
(
そうしゃ
)
の如く、
宛
(
さ
)
ながら眼を
睜
(
みは
)
り、
呍
(
うん
)
と口を結んで、疾風の如く
駛
(
は
)
せ出した。余は帽子に手を
添
(
そ
)
えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自分の好きな
塩煎餅
(
しおせんべい
)
か
掻餅
(
かきもち
)
でもあろうもんなら、
宛
(
さ
)
もこの
家
(
や
)
のものは
竈
(
かまど
)
の下の灰までが
俺
(
おれ
)
の物だというような顔をして、平気で菓子鉢に顔を突込んではボリボリと喰べ初める。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
宛
常用漢字
中学
部首:⼧
8画
“宛”を含む語句
宛然
宛行
宛転
宛名
名宛
宛嵌
宛如
押宛
宛所
宛城
宛字
手宛
大宛
人宛
目宛
引宛
宛転滑脱
宛込
宛転悠揚
幸子宛
...