花月の夜かげつのよ
戸を明くれば、十六日の月桜の梢にあり。空色淡くして碧霞み、白雲団々、月に近きは銀の如く光り、遠きは綿の如く和らかなり。 春星影よりも微に空を綴る。微茫月色、花に映じて、密なる枝は月を鎖してほの闇く、疎なる一枝は月にさし出でゝほの白く、風情言 …