“桜花”のいろいろな読み方と例文
旧字:櫻花
読み方割合
さくら41.4%
はな20.7%
おうか17.2%
さくらばな10.3%
あうくわ6.9%
ばな3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから溜池橋ためいけばしを渡るともう日が暮れて、十五夜でしょう、まん丸な月が出て、それから山王さんのうのあの坂を上がるとちょうど桜花さくらの盛りで
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
午さがりの空は、うす寒く曇って、吹上苑ふきあげをつつむ桜花はなの蔭に、チチ、チチ、と小禽ことりの音はあるが、何となく浮いていない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折しも弥生やよいの桜時、庭前にわさき桜花おうかは一円に咲揃い、そよ/\春風の吹くたびに、一二輪ずつチラリ/\とちっる処は得も云われざる風情。
美女たをやめ背後うしろあたる……山懐やまふところに、たゞ一本ひともと古歌こか風情ふぜい桜花さくらばな浅黄あさぎにも黒染すみぞめにも白妙しろたへにもかないで、一重ひとへさつ薄紅うすくれなゐ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
春雲しゆんうんつきめて、よるほの白く、桜花あうくわたんとして無からむとす。かはづの声いと静かなり。
花月の夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
軒堤燈のきぢょうちんがすうっとならんで、つくり桜花ばなや風鈴、さっき出た花車だしはもう駒形こまがたあたりを押していよう。木履ぽっくりの音、物売りの声、たいした人出だ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)