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桜花
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はな
ふりがな文庫
“
桜花
(
はな
)” の例文
旧字:
櫻花
午さがりの空は、うす寒く曇って、
吹上苑
(
ふきあげ
)
をつつむ
桜花
(
はな
)
の蔭に、チチ、チチ、と
小禽
(
ことり
)
の音はあるが、何となく浮いていない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
散りかかる
桜花
(
はな
)
の下道を背戸へまわって二階建ての
母屋
(
おもや
)
、焼きつくような饗庭の視線を絶えず首筋に意識しながら、ここが奥座敷と思われるあたりへ出た。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ひえびえと咲きたわみたる
桜花
(
はな
)
のしたひえびえとせまる肉体の感じ
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
朧
(
おぼろ
)
な夜の雲を見ているのか、
桜花
(
はな
)
の梢を見つめているのか、内蔵助は、背を樹にもたせかけ、顔を仰向けたまま、いつまでも、眸を下に落さない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白粉
(
おしろい
)
焼けのような、
荒淫
(
こういん
)
にただれた顔に
桜花
(
はな
)
の映ろいが明るく踊っているのが、男だけにへんに気味が悪い。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
散りかかり散りかかれども棕梠の葉に散る
桜花
(
はな
)
ふぶき
溜
(
たま
)
るとはせず
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
供の
侍従介
(
じじゅうのすけ
)
は、さっきから、廊の端に、坐ったまま、
苑面
(
にわも
)
にちりしく白い
桜花
(
はな
)
をじっと見入っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八つを告げる
回向院
(
えこういん
)
の鐘の音が、
桜花
(
はな
)
を映して悩ましく霞んだ
蒼穹
(
あおぞら
)
へ吸われるように消えてしまうと、落着きのわるい床几のうえで釘抜藤吉は大っぴらに一つ
欠伸
(
あくび
)
を洩らした。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しんしんと
桜花
(
はな
)
ふかき奥にいつぽんの道とほりたりわれひとり
行
(
ゆ
)
く
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
黒い
桜花
(
はな
)
の影が、障子に雲のような
斑
(
ふ
)
を映していた。
夜霞
(
よがすみ
)
のしっとりと感じられる遠くには、櫓の音がする。船唄がながれて行く。——内匠頭夫人は、独りで坐っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
更
(
ふ
)
けても、火鉢に炭をつぐ世話もいらない程の陽気だし、
桜花
(
はな
)
も今夜あたりでおしまいだろう、
櫺子
(
れんじ
)
の外には、まだ戸を
閉
(
た
)
てない頃から、春雨の音がしとしとと降りつづいていた。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨あがりの
大路
(
おおじ
)
の黒い土は、
胡粉
(
ごふん
)
をこぼしたように白い
斑
(
ふ
)
で描かれている。キリ、キリ、とさびしい
軌
(
わだち
)
の音が、
粟田口
(
あわたぐち
)
あたりの
閑寂
(
かんじゃく
)
な土塀や竹垣、生垣の
桜花
(
はな
)
の下蔭を通ってゆく——
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
桜
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
“桜花”で始まる語句
桜花腊
桜花爛漫
桜花物語