“はな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハナ
語句割合
18.8%
14.8%
12.4%
10.0%
8.1%
7.8%
5.2%
3.2%
2.8%
2.0%
最初1.8%
鼻汁1.6%
1.4%
冒頭0.6%
0.6%
0.6%
0.5%
0.4%
鼻洟0.4%
纏頭0.4%
0.3%
桜花0.3%
0.3%
挿花0.2%
花牌0.2%
祝儀0.2%
花札0.2%
洟汁0.2%
鼻孔0.2%
談話0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
弄花0.1%
𡽶0.1%
0.1%
鼻涕0.1%
落花0.1%
生花0.1%
先頭0.1%
初手0.1%
劈頭0.1%
0.1%
涕汁0.1%
瓶花0.1%
発端0.1%
端初0.1%
纒頭0.1%
0.1%
0.1%
鼻液0.1%
鼻腔0.1%
当初0.0%
花華0.0%
花骨牌0.0%
一端0.0%
二人談0.0%
0.0%
八七0.0%
典物0.0%
初日0.0%
0.0%
売却0.0%
山端0.0%
0.0%
放免0.0%
0.0%
0.0%
発散0.0%
相談0.0%
秘花0.0%
0.0%
0.0%
花代0.0%
花子0.0%
0.0%
解放0.0%
説明0.0%
談合0.0%
0.0%
釈放0.0%
0.0%
頴花0.0%
香花0.0%
0.0%
黄金0.0%
鼻涎0.0%
鼻面0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ばんごと喧嘩けんくわをしてめてやるのだが隨分ずゐぶんおもしろいよとはなしながら、鐵網かなあみうへもちをのせて、おゝ熱々あつ/\指先ゆびさきいてかゝりぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
越前ゑちぜん武生たけふの、わびしい旅宿やどの、ゆきうもれたのきはなれて、二ちやうばかりもすゝんだとき吹雪ふゞき行惱ゆきなやみながら、わたしは——おもひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
といいながら、はちをつかんでげますと、したから人間にんげん姿すがたあらわれたので、びっくりして、はなしてげていってしまいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おばあさんは、いい香水こうすいにおいが、少女しょうじょからだにしみているとみえて、こうしてはなしているあいだに、ぷんぷんとはなにくるのをかんじました。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その広い座敷がただ一枚の絨毯じゅうたんで敷きつめられて、四角よすみだけがわずかばかりはなやかな織物の色とうために、薄暗く光っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ぼくとのことは、一回だけです。まるで強姦でしたが、途中からマリは抵抗はしなかった」はなをすすり、彼は早口にしゃべった。
演技の果て (新字新仮名) / 山川方夫(著)
さあぼっちゃん。きっとこいつははなします。早くなみだをおふきなさい。まるで顔中ぐじゃぐじゃだ。そらええああすっかりさっぱりした。
黄いろのトマト (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
諏訪、上原の合戦では、糧道の先達せんだつに道を教えなかったら、村はなへ煙硝を仕掛け、一郡七カ村を跡方もなく噴き飛ばしてしまった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此処ここは千葉県の外房海岸。俗に「不帰浜かえらずはま」という岩石峭立する荒磯から、二百ヤードほどはなれた小島にある廃灯台であった。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
俺あ、今日の入れ札には、最初はなから厭だった。親分も親分だ! 餓鬼の時から一緒に育ったお前を連れて行くと云わねえ法はねえ。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
御承知の通り鼻汁はなをかむ時は、是非鼻を抓みます、鼻を抓んで、ことにこの局部だけに刺激を与えますと、進化論の大原則によって
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
イヤ……お勢じゃない叔母に咄して……さぞ……厭な顔……厭な顔を咄して……口……口汚なくはな……して……アア頭が乱れた……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
唐突ながら——と冒頭はなに自分でもことわってるとおり、いかにも唐突。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
公然単独ひとりで墓参に行くと、そこには必ず誰か彼女を待って居るものがあった、所謂誘拐される四日前も二人はあった、そして女は降りかかる結婚問題をはなしたのだね
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
と、濁った呶号どごうはなつと一緒に、躍り上ったと見えたが、上段に振りかぶっていた一刀を、雪之丞の真向から叩きつけて来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
教師が教場に出てもこころざしを遠きにけ、役人が執務するに、俗務のために没却ぼっきゃくされない、すなわち一ごんちぢめると、吾人ごじんが人格としてまったく世をはなれた思想をいだくと同時に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
王がはなつや鼠欲しさに妃に飛び掛かったから、王一切の物件を妃に渡し、妃これを象馬に積んで夫の従者を領して帰国した。
ぼろぼろの襤褸つづれを着て、青い鼻洟はならして、結う油もない頭髪を手拭てぬぐいで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日田舎唄いなかうたを唄うころは無邪気であった。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ちょっと手土産てみやげがわりという纏頭はなでも、百両千両はきれいにおきになるお大尽。おっかさん、どうでしょう?
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へへへ、こりゃどうも……。はなはちょいと入り組んだ事件だったんですが、なにしろ、下手人が出て、腹を
顎十郎捕物帳:03 都鳥 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
散りかかる桜花はなの下道を背戸へまわって二階建ての母屋おもや、焼きつくような饗庭の視線を絶えず首筋に意識しながら、ここが奥座敷と思われるあたりへ出た。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
方々を歩いてみると、往々このイチハツを藁屋根の棟に密に列植してあるのを見かけるが、その紫はなを飜えす花時にはすこぶる風流な光景を見せている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「お目に掛れば解ります。何に致せ、おおお、まあ、梅が好く咲きましたぢやございませんか。当日の挿花はなはやつぱりこの梅がよろしからうと存じます。さあ、どうぞ此方こちらへお入り下さいまし、御遠慮無しに、さあ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
同じ顔ぶれがたいがい顔を揃へてゐて、麻雀の者、碁を打つ者、花牌はなをひく者、けんを打つ者、酒を飲む者。
外套と青空 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
金五郎から、祝儀はなもやってある。新之助が、福岡監獄に服役中、知りあいになった熊丸虎市くままるとらいちと、共同で、この、関西若手歌舞伎一座の興行をやっているのだった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
すこし小母が氣分の好い時には、池の金魚の見えるところへ人を集めて、病を慰める爲に花札はなを引いた。
眼の中に入れても痛くない位可愛がって、振袖を着せたり、洟汁はなんでやったりしているのであった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
早速履脱くつぬぎへ引入れて之を当がうと、小狗こいぬ一寸ちょっとを嗅いで、直ぐうまそうに先ずピチャピチャと舐出なめだしたが、汁が鼻孔はなへ入ると見えて、時々クシンクシンと小さなくしゃみをする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お父さんはお昼に神保じんぼうさんをお招き申した。何でも何とか町の地所を此人このひとに買わせるんだって、お母さんと談話はなしていた。今日は料理人が馬鹿に意地が悪い。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小笠原嶋ブラボがはなに巻く渦のこほろこほろに故国くにこほしき
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏すそうらをまくってはなをかみ、そうして其涕それをうまくすり付けてしまう。余りが多いとつつの方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
生は國歌を破壞し盡すの考にては無之日本文學の城壁を今少し堅固に致し度外國の髯づらどもが大砲をはなたうが地雷火を仕掛けうがびくとも致さぬ程の城壁に致し度心願有之
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
神田で雑誌を出している友人の元へ、弄花はなに往くと云う細君とれ立って家を出て、二三日横浜あたりを遊び歩いて帰った日の細君の倒錯的な癖を彼は思いだした。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
夕方館の庭から沼に突き出たみさき𡽶はなで、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の写生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、附近あたりの林で草花を折ったり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
れッてえな、武大さんときたら。だから世間でいうんだよ。はなッ垂らしの薄野呂うすのろだッて。——見ねえな、おらの顔や手頸てくびを」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝つぼには落花はなあくたが浮いたり沈んだりしていた。どこかで、老鶯おいうぐいすが啼きぬくのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顧客とくい先で、小野田が知合になった生花はなの先生が出入ではいりしたり、蓄音器を買込んだりするほど、その頃景気づいて来ていた店の経済が、暗いお島などの頭脳あたまでは、ちょと考えられないほど
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それを先頭はなにして、夫人とお鶴とを乗せた車は順に砂地の道をきしり始めた。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おつそろしくむらのある文章だ! 一目で人間の書いたものでないことが分つてしまふ——初手はなはちやんとまとまつてゐたが、末の方で犬式に足を出してしまつてゐらあ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「今度ばかりは全く見当違いだったよ。権三郎と気が付いたら、劈頭はなから踏込んで縛るのに、三人の武家にばかり眼を付けて、とんだ手間取ってしまったよ」
「根岸にはお大名の別荘しもやしきが沢山あるけれど、加賀様のお姫さまがたは揃ってお美しかった。お前さん、はなの咲くころに、お三方さんかたもお四方よかたも揃っておいでになると、まるで田舎源氏の挿絵のようさね。」
鼻汁はなをたらしていると、東京へ行って笑われるで、綺麗きれいに行儀をよくしているだぞ。」と、父親はお庄の涕汁はななぞをんでやった。気の荒い父親も旅へ出てからの妻や子に対する心持は優しかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その日はもう発端はなから晴れがましく、心を奪うようにできていた。
承った処では、居士だと、牡丹ぼたんのおひたしで、鼠は朝顔のさしみですかな。いや、お話がおくれましたが、端初はなから、あなた——美しい像は、跣足はだしだ。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五陵ごりょうの年少は 争って 纒頭はなを贈る
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
怪量は詳しく当時の模様をはなした。時どき自分で可笑おかしくなると見えて大声を出して笑った。怪量を取り調べていた役人は同僚と何か相談した。そして、向き直って怪量を睨みつけた。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな
子供の時分に私はよく鼻液はなが出ました。それを兩方の袖口で拭きましたから何時でも私の着物には鼻液が干乾ひからび着いて光つて居りました。そればかりでなく、着物の胸のあたりをも汚したものです。
濛々とする秣草のほこりに噎せ反つて、私は眼や鼻腔はなをおさへたまゝ枯草の中へ打ち伏すのであつた。
剥製 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
微細こまかい奴は蚊帳の目をこぼれて、むらむら降懸ふりかかるものですから、当初はな一旦寝たのが、起上おきあがって、妹が働いて、線を手繰たぐって、次のへ電燈を持って行ったので、それなり一枚けてあります。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……それでも、当初はな乗った時は、一つ二つ、席の空いたのがありました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皇后が、天平てんぴょうの美と信仰を代表さるる花華はなとして仰がれていた証拠でもあろうか。かようにくすしく美しい伝説のまつわっておらるる方は、わが国史でも皇后以外にはない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
天平てんぴょう花華はな
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
奥座敷では、午後の慰みに花骨牌はなが始まった。お婆さんと主人が細君の相手に成って、病後を慰め顔に一緒に小さな札を並べていた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
花骨牌はなにもんだ頃、細君は奥座敷の縁側の方から玄関の通い口へ来て佇立たたずんだ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……といって閨房けいぼうあかりらしい艶媚なまめかしさも、ほのめいていない……夢のように淡い、処女のように人なつかしげな、桃色のマン丸い光明こうみょうが、巨大おおきな山脈の一端はならしい黒い山影の中腹に
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その近傍きんぼうある海岸の村に住んでいる二人の漁夫ぎょふが、ある月夜に、近くの峠を越して、深い林の中を、二人談はなしながら、魚類の沢山入っている籠を肩にして、家の方へ帰って来ると、その途中で
月夜峠 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
ジキタリスの紫の花弁はなびらは王冠につけた星のように曠野の中で輝いているし、紅玉ルビー色をした石竹のはな恰度ちょうど陸上の珊瑚のように緑草の浪にゆられながら陽に向かって微笑を投げている。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鎌の鼻といふのは鎌の八七はな、七と八を掛けて七八の五十六だ。千次郎はそれを八十七と思ひ込んだから、飛んでもない方へ行つてしまつた
そうして座頭は其代りとして、莫大な典物はなを頂戴した。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自分じゃ、この俺様ほど金持で気儘な人間はないと思ってるんだ。ロシヤからここへ追放されて来たとき、俺は初日はなからこう極めたんだ——何にも欲しくはねえ! ってね。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
後影うしろかげを起上りながら、長二が恨めしそうに見送って居りましたが、思わず跣足はだしで表へ駈出し、十間ばかり追掛おっかけて立止り、向うを見詰めて、何か考えながら後歩あとじさりして元のあがはなに戻り
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はいにもつくしましたが、此品これわたくし秘蔵ひざうでございますから、此品これだけはうも売却はなすことが忌嫌いやでございますから、只今たゞいまもつて麪桶めんつうがはりに傍離そばはなさずに使つてります。
山端はなに出た一人の獵師は、(彼の犬は平氣でさつさと先を急いでゐる)ちやうど彼のふり反つた鼻の先の、落葉松に話しかける。「やつたぜ、また」
(旧字旧仮名) / 三好達治(著)
子、魯の大師にがくげて曰く、楽は其れ知るべきなり。始めておこすとき翕如きゅうじょたり。之をはなてば純如たり。皦如きょうじょたり。繹如えきじょたり。以て成ると。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「露八。ここを放免はなしてやっても、まさか貴様、またお蔦のところへ、二度と帰るのじゃあるまいな」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立去り我が家へ歸りかみいのりしこともむだとも成しとて夫より只管ひたすら菩提ぼだいとふらはんと思ひはなを供へ香をたいて只々一途に後生を願うてゐる所に其夜丑刻やつどき頃と思ふ折しも表の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恰も我が力なく能なく弁なく気なきを罵るに似たり。かれは斯の如く我に徹透す、而して我は地上の一微物、渠に悟達することのはなはだ難きは如何ぞや。
一夕観 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
色やかおりを悩ましいまでに発散はなすように、栞も、恋心を解放はなし、にわかに美しさを加えたのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
せておまへさまは何故なぜそのやうに御心おこゝろよわいことおほせられるぞ八重やへ元來もとより愚鈍ぐどんなり相談はなしてからが甲斐かひなしとおぼしめしてかれぬ御使おつかひも一しんは一しん先方かなたさまどのやう御情おなさけしらずでらうともつらぬかぬといふことあるやうなしなにともしておのぞ屹度きつとかなへさせますものを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むつみあふことなき愛に秘花はな濡れて素直に君は妻と云ひ添ふ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
あるいは有能ちからあるもの、あるいは今ある者、あるいはのちあらん者、或は高き或いは深き、また他の受造者はわれらを我主イエスキリストにれる神の愛よりはならすこと能わざる者なるを我は信ぜり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
マリウス敗れて此河岸に濳み、萬死を出で一生を得て、難を亞弗利加アフリカに避けしが、その翌年土を捲きて重ねて來るや、羅馬府を陷いれ、兵をはなちて殺戮さつりくせしむること五日間なりき。
と聞くと、何家どこも逃げを張って、花代はなに依らず、座敷へ出てがない。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こまったわね、しょうちゃん。」と、花子はなさんがいいました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
シエッペラアクは、自分の家であった洞窟を出て、始めてその小さい流れを越え、巌石のはなを曲がった時、彼は自分の下に輝いている現世の平野を見下ろした。
人馬のにひ妻 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
色やかおりを悩ましいまでに発散はなすように、栞も、恋心を解放はなし、にわかに美しさを加えたのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このうまりしが大將たいしやう説明はなせば、雀躍こをどりしてよろこび、ぼく成長おほきくならば素晴すばらしき大將たいしやうり、ぞくなどはなんでもなくち、そして此樣このやう書物ほんかれるひとりて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ただ月輪殿に会って、談合はなしたい事件ことがあって、それも前々から手紙をよこしたうえで来ているのだ。ところが、なんのかのといって、会わせねえから、ここで当人を捕えたという仔細。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがひどく阿英に似ているので、嫂は珏にそういって傍へいってしらべさした。果してそれは阿英であった。珏はうれしくてうれしくてたまらないので、そのままをつかまえてはなさなかった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
きょうの正午ひる過ぎに釈放はなされた上に、舟まで返してもろうた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こたびはしほはなの事とて忙しきまで追ひかけ追ひかけて魚の鉤に上り来れば、手も眼も及びかぬるばかりなり。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
頴花はな青じろき稲むしろ、 水路のへりにたゝずみて
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
型の通りお墓の前に香花はなを捧げ、本堂に立寄られるまでは無事でございましたが、今度は本堂裏のお位牌堂にお参りしたいと仰しゃるのでございます。
蛇性の執念 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「今くこの水門みなとに往きて、水もちて汝が身を洗ひて、すなはちその水門のかまはなを取りて、敷き散して、その上にまろびなば、汝が身本のはだのごと、かならずえなむ」
『淀屋が何じゃ……浮橋、皆を呼べ、黄金はないてやろうぞ、奥の座敷に、負けぬ黄金を』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついでだから説明しておくが、鼻垂先生とあだ名のついた理由は、鼻腔膜炎で、鼻の手術を受けた後、毎日ハンカチを五枚も換えるくらい、鼻涎はなを垂れるからである。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
まだ生々いきいきとしている小さな金壺眼かなつぼまなこは、まるで二十日鼠はつかねずみが暗い穴からとんがった鼻面はなを突き出して、耳をそばだてたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か