はな)” の例文
旧字:
その時、その患難ののち、日は暗く、月は光をはなたず。星は空よりち、天にある万象震い動くであろう。(一三の二四、二五)
と、濁った呶号どごうはなつと一緒に、躍り上ったと見えたが、上段に振りかぶっていた一刀を、雪之丞の真向から叩きつけて来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そしてみずからはなつ芳香におのが官能を酔わしめて、ひそやかに楽しんでいる。それが、ほのかに、かすかに、香に立ってきこえてくるのであろう。
殊には鉄砲をはなたれたので、恐怖に襲われ一たまりもなく、崩れ立って盆地へ逃げ込んだ——その一揆の衆であった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
い塩梅に近くではなしただけに狙いも狂わずって、お前に怪我さえ無ければ私はマア有難いんな嬉しい事は無いよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
われは理想詩人なる露伴が写実作者の領界に闖入ちんにふして、かへつて烏の真似をすると言はれんより、其奇想を養ひ、其哲理を練り、あはれ大光明をはなちて
従容しょうようとして去る。庸の諸将あいかえりみておどろるも、天子の詔、朕をして叔父しゅくふを殺すの名を負わしむるなかれの語あるを以て、矢をはなつをあえてせず。このまた戦う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
徳育の方針ここに一定し、教化益々ますます四海にあまねく、明治二十七、八年えきに至って教育の効果はますますその光輝をはなち、内外の人士嘆美たんびせざるはなき盛運に向いました。
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
昨日の跡が凸凹に凍っていて、非常に歩きにくい、がそれが無かったなら、ぼーっと一面に蛍光をはなって、闇に終る広い雪の斜面に、私達は取るべき路に迷ったに相違ない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
さすがに持扱もてあつかひて直行の途方に暮れたるを、老女は目をほそめて、何処いづこより出づらんやとばかり世にもあやしき声をはなちてゆるく笑ひぬ。彼は謂知いひしらぬ凄気せいきに打れて、覚えず肩をそびやかせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
外国のひげづらどもが大砲をはなたうが地雷火を仕掛しかけうが、びくとも致さぬほどの城壁に致したき心願しんがん有之、しかも生を助けてこの心願を成就じょうじゅせしめんとする大檀那おおだんなは天下一人もなく
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
されば内に国力を養い外に国光をはなたんには、是非とも女子教育を盛大にせなければなりますまい。
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
と活然たる弦返りの音、弓籠手ゆごてあたって響いたが、既にはなたれていたのであった。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
生は国歌を破壊し尽すのかんがえにては無之、日本文学の城壁を今少し堅固に致したく、外国のひげづらどもが大砲をはなとうが地雷火を仕掛けようがびくとも致さぬほどの城壁に致したき心願しんがん有之
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
微曇ほのぐもりし空はこれが為にねむりさまされたる気色けしきにて、銀梨子地ぎんなしぢの如く無数の星をあらはして、鋭くえたる光は寒気かんきはなつかとおもはしむるまでに、その薄明うすあかりさらさるる夜のちまたほとんど氷らんとすなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
に光をはなつらんやうに四辺あたりを払ひて見えぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)