祝儀はな)” の例文
盆廻しは旅芸人の常套じょうとうである。お客の方でも心得たもの。祝儀はなは見得坊な桟敷の上客がハズむものと知っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金五郎から、祝儀はなもやってある。新之助が、福岡監獄に服役中、知りあいになった熊丸虎市くままるとらいちと、共同で、この、関西若手歌舞伎一座の興行をやっているのだった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
女たちのさす杯を片ッ端からみな干して、さっそく錦の巾着きんちゃくを中の金ぐるみ祝儀はなとして投げ与え
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と讃辞を言伝ことづけさせ、梅若、幸若のふたりへ、金子きんす百両、帷子かたびら五十を祝儀はなとして贈りとどけた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「多くはない。祝儀はなとして、賭けに勝った者にだけ取らせる。さ、始めないか商売を」
その拳にも飽き、また馬鹿騒ぎのかんもつきると、やがて水亭の夜は、おひらきとなっていた。そして妓たちは、さらに楮幣のお祝儀はなを、それぞれ多分にもらって引き揚げて行った。
といって、森蘭丸を楽屋へやり、幸若同様に梅若へも、金子拾枚の祝儀はなを与えている。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまのご喝采の中には、祝儀はなをやれ! 祝儀の盆を廻せ! ッてなありがたいお声もあったじゃござんせんか。次の芸題げだいにかかる前に、どうですえ、ここらで一つお志をいただいては
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)