月夜峠つきよとうげ
これも同じく遠野で聞いた談だ。その近傍の或海岸の村に住んでいる二人の漁夫が、或月夜に、近くの峠を越して、深い林の中を、二人談しながら、魚類の沢山入っている籠を肩にして、家の方へ帰って来ると、その途中で、ひょっこりとその一人の男の女房に出会っ …