灯火あかり
飯島夫人——栄子は一切の事を放擲する思をした後で、子供を東京の家の方に残し、年をとつた女中のお鶴一人連れて、漸く目的とする療養地に着いた。箱根へ、熱海へと言つて夫や子供と一緒によく出掛けて行つた時には、唯無心に見て通り過ぎた相模の海岸にある …
作品に特徴的な語句
おつしや 容貌かほ しまひ 健康ぢやうぶ つぶ 瀟洒こざつぱり 見当あたり きつ 矢張やつぱり もと 如何どう 年長うへ おもひ 普通あたりまへ けぶ おびやか しを 先頭はな 光景さま 婦人をんな あて 左様さう 彼様あゝ 微笑ほゝゑ はふ みん 繊弱きやしや 黄色くわうしよく 何時なんどき 周囲あたり 大凡おほよそ 姉妹きやうだい もつと 平素いつも 御家おうち 御癒おなほ 折角せつかく ゆびさ 放擲はうてき 斯様こん ふる 最早もう 梶棒かぢぼう 燈火あかり すぐ 真実ほんと 聞咎きゝとが 街燈ガス つか 静止じつと 飯島いひじま 一歩ひとあし うち 仮托かこつ 何故なぜ 余程よほど 借屋しやくや そば 兎角とかく 其様そんな 内儀かみ 内部なか もた 取繞とりま うち 寺院おてら 屋外そと 帕子ハンケチ 彼方かなた あと 思召おぼしめ 敷布シーツ 朦朧もうろう 栄子えいこ てすり 温順おとな 独語ひとりごと 用達ようたし 目的めあて 相模さがみ 蔦屋つたや 被入いら 見立みたて 言伝ことづて 身体からだ