“仮托”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かこつ28.6%
かたく28.6%
かこ14.3%
かこつけ14.3%
かま14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
会社の用事に仮托かこつけて、旅にばかり出掛けた……そんなことをして、名のつけようの無い悲哀かなしみを忘れようとした……
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
けれど無数の書名は、じっさいには、ほんとの太平記の内容とは、何のかかわりもなく、ただその“太平”ということばの持つ広さやばくとした思わせぶりに仮托かたくしたものが大部分であるといってよい。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この現実は手にあまる、という一部の人々の自己放棄の告白が、読者の文化の水準に仮托かこつけて逆の側から表現された点が、今日の読者のありようにもつながる意義をもつのである。
今日の読者の性格 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
役所に遠いのを仮托かこつけに、猿楽町さるがくちょうの親の家を離れて四谷よつやかみの女の写真屋の二階に下宿した事もあった。神田の皆川町みながわちょう桶屋おけやの二階に同居した事もあった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
楼婢ろうひを介して車をたのんだが、深更しんこう仮托かまけて応じてくれ無い、止むを得ず雨をついて、寂莫じゃくばくたる長堤をようやく城内までこぎつけ、藤堂采女とうどううねめ玉置小平太たまおきこへいたなど云う、藩政時分の家老屋敷の並んでいる
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)