“寂莫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せきばく77.8%
ひっそり7.4%
しじま3.7%
じゃくばく3.7%
じゃくまく3.7%
じやくばく3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
聞く者の耳も妙に変っている。この「オーイ」「オーイ」の応答が杜絶とだえると、自分の心臓の鼓動が高く響くだけが気になる寂莫せきばくである。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
変に陰気で不気味な晩でございました。ちやうど来なすつた時、目白の九つを聞きましたが、いつもの八つごろほど寂莫ひっそりして、びゆう/\風ばかりさ、おかみさん。
夜釣 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
酷薄の、これな寂莫しじまにほとぶなり……
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
楼婢ろうひを介して車をたのんだが、深更しんこう仮托かまけて応じてくれ無い、止むを得ず雨をついて、寂莫じゃくばくたる長堤をようやく城内までこぎつけ、藤堂采女とうどううねめ玉置小平太たまおきこへいたなど云う、藩政時分の家老屋敷の並んでいる
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
雪の上は灰色に凍って、見渡すかぎり、寂莫じゃくまくとしている。その時私の母は四十幾つであった。脊の低いやせた人柄であった。私はいまだに当時のあたりのいたましい景色が身に浸みていて忘れられない。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此樣こん孤島はなれしま鍛冶屋かぢやなどのあらうはづはない、一時いちじこゝろまよひかとおもつたが、けつしてこゝろまよひではなく、寂莫じやくばくたるそらにひゞひて、トン、カン、トン、カンと物凄ものすご最早もはやうたがはれぬ。