はな)” の例文
旧字:
庸兵をはなって之を追い、殺傷甚だ多し。このえきや、燕王数々しばしばあやうし、諸将帝のみことのりを奉ずるを以て、じんを加えず。燕王も亦これを知る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
王がはなつや鼠欲しさに妃に飛び掛かったから、王一切の物件を妃に渡し、妃これを象馬に積んで夫の従者を領して帰国した。
おもむろにこれはなってその趣くところに赴むかしめたのがあの如何にも落付おちつきのある坐りのいい裾の線だ。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それともわざとはなって置いて、かえって確実に、とりこにしようとする手管かも知れない。若しそうなら、その手管がどうやら己の上に功を奏して来そうにも感ぜられる。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いとに狂ひ、波を打ち、一進一退、牽けども痿えず、はなてども弛まず、釣客をして、危懼きくしながらも、ぞくぞく狂喜せしむるものは只鱸のみにて、釣界中、川魚の王は
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
(支那にては秋季に限りて刑を執行す、故に裁判官を秋官ともいう、)自ら帰り来って死に就くべきことを約束させた上、三百九十人の囚人をはなって家に帰らしめた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
蔡邕さいようの『独断』に、臘は歳終の大祭、吏民をはなって宴飲せしむ。正月歳首また臘の儀のごとしとある。
鵬斎が茶山を通衢上つうくじやうに捉へて放さなかつた如く、茶山は霞亭を諸生間に抜いてはなつまいとした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
燕兵勢に乗じて営にせまり火をはなつ。急風火をあおる。ここおいて南軍おおいついえ、郭英かくえいは西にはしり、景隆は南に奔る。器械輜重しちょう、皆燕のるところとなり、南兵の横尸おうし百余里に及ぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
はなして席間に周旋せしめ、番語で申し付くると俄に一はちを捧げ至る、また番語で詈れば一碗をえて来る、驚いて問うと答えて、それがしあり、子を生んだが弥月びげつにして死んだ。
燕王衝撃はなはつとむれどもづることを得ず、ほとんど其のるところとならんとす。朱能しゅのう周長しゅうちょう等、王の急を見、韃靼だったん騎兵をはなって庸の軍の東北角を撃つ。庸これふせがしめ、かこみやゝゆるむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
またこの言をなす。世間ただ好みて情をはなち欲を極むるを追い求むるあり、最もこれ一生上妙の快楽なり。宜しく共に隠身の薬を求むべし。事もしかく果たさば、この願い必ずらん。
『五雑俎』五に、宋の張耆ちょうき四十二子あり、〈諸姫妾の窓閣皆馬厩に直す、馬○○するごとにはなってこれを観せしめ、随いて御幸するあれば孕を成さざるなし〉(『日本紀』武烈紀八年の条参照)。