“涕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なみだ61.1%
11.1%
はな11.1%
ぱな5.6%
すす2.8%
はなみづ2.8%
ナミダ2.8%
2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青い稲田が一時にぽっとかすんだ。泣いたのだ。彼は狼狽うろたえだした。こんな安価な殉情的な事柄になみだを流したのが少し恥かしかったのだ。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
安は栄一の止めるのも聞かないで、安静を要する病人を、自分の両腕に抱きあげて、『おい、おい』いて居る。
母はもとより泣いた、快活な父すら目出度い目出度いと言いながら、しきりに咳をしてはなんでいた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
貧乏な、御家人風情ごけにんふぜいではあっても、かく両刀りゃんこを差したあがりのおれが、水ッぱなをすすりながら、町内のお情で生きている夜番のじじいと一緒に、拍子木ひょうしぎをたたいたり、定使じょうづかいをする始末だ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
また、おこうが、すすり泣いているのだった。
題詞には、大津皇子被死之時、磐余池ツツミナミダ御作歌一首とある。即ち、大津皇子の謀反むほんあらわれ、朱鳥あかみとり元年十月三日訳語田舎おさだのいえで死を賜わった。その時詠まれた御歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏すそうらをまくってはなをかみ、そうして其涕それをうまくすり付けてしまう。余りが多いとつつの方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)