はな)” の例文
母はもとより泣いた、快活な父すら目出度い目出度いと言いながら、しきりに咳をしてはなんでいた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏すそうらをまくってはなをかみ、そうして其涕それをうまくすり付けてしまう。余りが多いとつつの方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
と一時の談話もお登和嬢の心には激しくこたえけん、嬢ははなをすすらせて答だになし得ず。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
と治平は真青まっさおになりブル/\慄え出すを見て、ガラリと鞄をほうり出し、どたアりと大胡座おおあぐらをかいて、かくしからハンケーチを取出とりいだし、チンとはなをかんで物をも云わず巻煙草に火を移し
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)