“冒頭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はな25.9%
まくら16.7%
ぼうとう13.0%
まえおき9.3%
のっけ9.3%
はじめ9.3%
あたま7.4%
きつかけ1.9%
しょっぱな1.9%
のつけ1.9%
まへおき1.9%
みだし1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
笹屋宗太郎の話は、冒頭はなからこの調子でした。涙を誘ふやうな、煽情的せんじようてきなものではないまでも、世にも陰慘な、不愉快なものだつたのです。
客は小僧いほど落着いて、世間話の冒頭まくらをだらだらとふった。それで焦らされて、わざとの渋い表情も自然に装えて、顔をしかめた。
婚期はずれ (新字新仮名) / 織田作之助(著)
おれはまず冒頭ぼうとうとしてマドンナ事件から説き出したが、山嵐は無論マドンナ事件はおれよりくわしく知っている。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「公は、漢中の援けを待って、籠城しておられるのだろうが、百年お待ちになっても、張魯の援軍などは参りませんぞ」と、冒頭まえおきして
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冒頭のっけから善人だと女に云われ、何んの疑がいもなくぶつかって来られたなア、今夜のお蘭ちゃんが初めてだ。……礼云うぜ」
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天国の光輝かがやきと地獄の火とを背景として読むにあらざれば福音書の冒頭はじめに掲げられたるイエスの此最初の説教みおしえをすら能く解することが出来ないのである。
山の男と海の男が魚に対して根本的の観念をことにするごとく、謎の女と糸子とは、人間に対して冒頭あたまから考が違う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と云ふのを冒頭きつかけに、裏に怒りを潜めながら、表は優しい口調で、お末に因果を含めだした。お末は初めの中は何がと云ふ気で聞いて居たが、段々姉の言葉に引入れられて行つた。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
「ねえ熊城君、これでいよいよ、第二幕が終ったのだよ。もちろん、文字どおりの迷宮混乱紛糾さ。だがしかしだ、たぶん次の幕の冒頭しょっぱなにはレヴェズが登場して、それから、この事件は、急降的に破局キャタストロフへ急ぐことだろうよ」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
子爵といふ金箔をツて社會に立たうと思はぬといふのを冒頭のつけにして、彼の如き事情の下に生まれた子は、親の命令に服從する義務が無いと喝破かつぱ
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
主人の口から申させれば、まさかさうでもあるまいがと、今に未練の冒頭まへおきを、残してゐるだけ、憎らしうござんする。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「富豪邸の猟奇殺人事件! 全裸の若き美夫人、鮮血を浴びて寝台上に虐殺さる」と煽情的センセーショナル冒頭みだしを掲げて、まだその上に御丁寧にも
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)