冒頭まえおき)” の例文
「公は、漢中の援けを待って、籠城しておられるのだろうが、百年お待ちになっても、張魯の援軍などは参りませんぞ」と、冒頭まえおきして
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はッ恐れながら。」と冒頭まえおきして、さて御機嫌を伺えば、枯れたる声を絞らせたまい、「退さがりや、退りや。」と取っても附けず。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いやそこをこれから話そうというのだ。先刻さっきも云った通り『景清』のおもむきの出てくるところはこれからさ。今言ってるところはほんの冒頭まえおきだて」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そう冒頭まえおきをして葉子は倉地と押し並んでそろそろ歩きながら、女将おかみの仕打ちから、女中のふしだらまで尾鰭おひれをつけて讒訴いいつけて、早く双鶴館そうかくかんに移って行きたいとせがみにせがんだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「では申し上げます。あなたも○○さんの代理にわざわざ尋ねて来て下さるくらいでいらっしゃるから、定めし関係の深い御方には違いございませんでしょう」という冒頭まえおきをおいて
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、冒頭まえおきして——
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)