冒頭のっけ)” の例文
冒頭のっけから善人だと女に云われ、何んの疑がいもなくぶつかって来られたなア、今夜のお蘭ちゃんが初めてだ。……礼云うぜ」
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吾輩は冒頭のっけから生命いのちがけで、この実験に取りかかったものだが、とうとうその実験のあおりを喰って、自分自身が、自殺にまで追い詰められる事になって……イヤ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
商人はまず冒頭のっけに、自分は僅か一停車場しか隔てていない、我が領地へ出かけるのだといいだした。
二三十金は資本もとでを入れる了簡で、媒介親なこうどおやと頼まんければ成らぬと思いまして……最う少し万事に届く方と思ったが、冒頭のっけに姓名を明かされては困りますねえ、実に恥入る
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
冒頭のっけに関東と言い出されたので、七兵衛は小間物屋の面を見ながら