冒頭はじめ)” の例文
天国の光輝かがやきと地獄の火とを背景として読むにあらざれば福音書の冒頭はじめに掲げられたるイエスの此最初の説教みおしえをすら能く解することが出来ないのである。
のみならず冒頭はじめが何だか訳の分らない事から始まるかも知れないから、けっして驚いてはいけません。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といふを冒頭はじめに、年も訊かれた、郷里も訊かれた、兩親のあるか無いかも訊かれた。學校へ上つたかどうかも訊かれた。お定は言葉にこまつて了つて、一言言はれる毎に穴あらば入りたくなる。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「月の光に黒々と、冒頭はじめに『謹製』と書かれてあった」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
といふを冒頭はじめに、年齢としも訊かれた、郷里くにも訊かれた、両親のあるか無いかも訊かれた。学校へ上つたか怎かも訊かれた。お定は言葉にこまつて了つて、一言ひとこと言はれる毎に穴あらば入りたくなる。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)