最初はな)” の例文
……それにしても、俺らに最初はなにぶつかって来た女が、お前のような女だったら、俺らこんな身の上にゃアならなかったんだが……
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
俺あ、今日の入れ札には、最初はなから厭だった。親分も親分だ! 餓鬼の時から一緒に育ったお前を連れて行くと云わねえ法はねえ。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
……多分こんなことだろうと、最初はなっから睨んでいた通り、こんなところで乞食の真似をしている。……それにしてもよく化けたものだ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
カチェリーナ・イヴァーノヴナは、最初はなそれをいやがりましたが、今では自分でも、ほかに仕様のない事がわかったようでございます……
あんなに気持のいい表情をもっていたにも拘らず、彼の顔が最初はなから長官の気に入らず——いったいどうした訳か、それはさっぱり分らない。
それそれ、そうおいでなさるだろうと、実は最初はなから待っていたんでございます——そうおいでなさらなくちゃなりません。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
最初はなは、ちょいとばかり、気に病みましたが、どうせ、気がつかずにはいませなんだ——矢を射かけられれば、射手の在りかはわかりますからねえ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
、物理、化学で固めた船で走るんじゃろ。それが信じられん奴は……君や僕が運用する数理計算が当てにならんナンテいう奴は、最初はなから船に乗らんが
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが、この会話とようすを、最初はなから庭のしげみに隠れて、立ち聞いていた大小ふたつの人かげがあった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
最初はなつから下手人を決めてかゝつちやいけない——岡つ引が腹を立てるのは禁物だ、——八、手近のところから、一人づつ呼んで來てくれ。死骸の前で會つてやらう。
したのは火事の最中で、最初はな行った時に、お前さんが源さんからまといを取って、もすさんに渡して、もすや、今夜おまえこれを持って俺と一しょに屋根へ来いって——
舞馬 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
こええ時と寒い時は酒でなければしのげねえから幾度も飲んで来たんだ、おめえ出しても身の毛立つようだ、最初はなから胡散うさんな侍だと思えば気を附けるが、やさしく若衆や砂打場すなうちば……じゃアねえ
「噴出さしちゃ不可いけないぜ。私は最初はなから、気にも留めていなかった、まったくだ。いまこう真剣となると、黙っちゃいられない。対手あいてがある、美芸青雲派の、矢野きみも知ってる名高い絵工えかきだ。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最初はなからこの娘には嚇されたが、どうやら最後きりまで嚇されそうだ。——さすがの一式小一郎も、微苦笑せざるを得なかった。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おれのうちに似た家は奴さんの家より他にやあねえ筈だ。なるほど、さういへば、かう早く家へ帰りついたのが最初はなから少し変だと思つたわい。
九郎助は一枚入っているから連れて行きていが、最初はないった言を変改することはできねえから、勘弁しな。さあ、先刻からえろう、手間を取った。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「それにしても、あなたもおひとが悪い。そうならそうと、最初はなっから言ってくださりゃ、こんなところで炎天干えんてんぼしになんぞならなくってすみましたものを」
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
最初はなの間違えにまた間違えを重ねて、すんでのこっておっかねえお武家に一つ抜かせるとこだった。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「さア判らねえ、お狩場の四郎が江戸へ入って来たとすると、こいつは最初はなっからやり直しだ」
恐れ入りやす、へっへ、何せ最初はなからあの仕末なんで、下方連中は気を腐らすわ、雷門はつむじ
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
最初はな、蜘蛛の巣だろう……誰だってそう思いますわ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あたぼうよ、ご家来でさあ……もっとも最初はなは松浦様のご舎弟、主馬之進しゅめのしん様のご家来として、馬込の里の荏原えばら屋敷で……」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猶奴ジュウ最初はなはまつたく見憶えがなかつただが、よくよく見ればくだんの男なので、てんから思ひもよらぬといつた顔つきをしやあがつて、⦅それあまた
「局長、なぜ最初はなっからそういうふうに話が判らねえんだ。あなたは何でも色眼鏡で見ようとするからいかん。只今の件は心配せんでいいです。幸田はこれでも男です」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「さア判らねえ、お狩場の四郎が江戸へ入つて來たとすると、こいつは最初はなつからやり直しだ」
「近いうちに一手御指南に預りたいものじゃ。こちらへ足が向いたらいつでも寄られい。男同士の交りに腰の物の有無なぞ、わっはっは、最初はなから要らぬ詮議じゃわい。」
じゃ、みんなに落ちたんだな。それじゃ、浅と喜蔵と嘉助とを連れて行こう。九郎助は、一枚入っているから連れて行きたいが、最初はな云った言葉を変改へんがいすることは出来ねえから、勘弁しな。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その相棒の馬方なんで……最初はなは俺らと杉さんとで……へい、そうで浪之助さんとで、その女を助けたんですが……逃げた八五郎め馬方を連れて
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
釘抜藤吉、無理にも最初はな見得けんとくを守り立てて、乾児を励ましてここまで来た木槌山。
おれは最初はなっからこしらえ事だと思ったよ——だが、その女をよく見ていると、顔も声も違っているが、たった一つだけ、間違いもなくお栄に違いないところがある——それは手だよ
ちやうど豚の鼻のやうにまんまるな五カペイカ銅貨型をしてをり、その脚と来ては至つて細く、こんな脚を、あのヤレスコーフ村の村長がもつてゐたなら、最初はな哥薩克踊カザチョークで挫いてしまつたことだらう。
申すまでもなく唐人あちゃさんと堅気きんとうの娘が会合さしあうことは法度でござりますばッてん、お種も最初はなのうちは恐ろしかと思い、わたしに隠して一々送り返していたとですが、お種はちっと早熟者はやろうのところへ
と思わず唸ったが、こう最初はなから星を指されては今さら隠すことも出来なかったので
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あの晩、お若が二階へ行つた後でそつと二階へ行き、隣りの部屋に隱れて居たのだらう——腹痛で寢て居た筈の彌吉が、あの時の事をよく知つてゐるので、最初はなから變だとは思つたよ。
エイ! ホウ! トットと最初はなから足をそろえて、息杖振って駈け出しました。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
最初はなから彼は正真正銘のザポロージェ人らしい生活くらしを送つてゐた。
「今日は最初はなから稀有けうな事ばかりで、不思議にも奇怪にも食傷してござるよ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「人間は最初はなっから解っているよ。俺はどんな人間か知りたかったんだ」
最初はなどうして親分は私に疑いをかけましたね?」
「親分は最初はなっからお越の仕業と解ったんですか」
「親分は最初はなつからおゑつの仕業と解つたんですか」
最初はなつから俺はそんな事を考へちや居ねえよ」
最初はなっから俺はそんな事を考えちゃいねえよ」
最初はなつから石が不足ぢやないのかな」