𡽶はな)” の例文
夕方館の庭から沼に突き出た岬の𡽶はなで、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の寫生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、附近あたりの林で草花を折つたり。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
夕方館の庭から沼に突き出たみさき𡽶はなで、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の写生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、附近あたりの林で草花を折ったり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
紺色になった馬掛まかけ𡽶はなから水鳥が二羽三羽すうと金色こんじきの空を筑波の方へ飛んで、高浜麻生潮来いたこの方角が一帯に薄紫になって、十六島じゅうろくしまの空に片破かたわれ月がしょんぼりと出て
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
五月雨さみだれで田圃が白くなり、雲霧くもきりで遠望が煙にぼかさるゝ頃は、田圃の北から南へ出るみさきと、南から北へと差出る𡽶はなとが、ながら入江をかこむ崎の如く末は海かと疑われる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)