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鼻洟
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はな
ふりがな文庫
“
鼻洟
(
はな
)” の例文
彼
(
あれ
)
が修業に出た時分は、旦那さんも私もやはり東京に居た頃で、丁度一年ばかり一緒に暮したが……あの頃は、お前、まだ彼が
鼻洟
(
はな
)
を
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ぼろぼろの
襤褸
(
つづれ
)
を着て、青い
鼻洟
(
はな
)
を
垂
(
た
)
らして、結う油もない頭髪を
手拭
(
てぬぐ
)
いで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日
田舎唄
(
いなかうた
)
を唄うころは無邪気であった。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
が、重い
硝子戸
(
ガラスど
)
は中々思ふやうにあがらないらしい。あの
皸
(
ひび
)
だらけの頬は
愈
(
いよいよ
)
赤くなつて、時々
鼻洟
(
はな
)
をすすりこむ音が、小さな息の切れる声と一しよに、せはしなく耳へはいつて来る。
蜜柑
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
肺病やみのような
鼻洟
(
はな
)
ったれの道学者先生は、こういった生活欲を何かと下劣なもののようにいう、詩人なんて連中はことにそうなんだ。この生活欲は性質からいうと幾分カラマゾフ的だね。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
かく言ひて、貫一は
忙々
(
いそがはし
)
く
鼻洟
(
はな
)
打擤
(
うちか
)
みつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
『
彼頃
(
あのころ
)
から見ると、
皆
(
みん
)
な立派な姉さんに成りましたなあ——どうして
吾儕
(
わたしども
)
が来た時分には、まだ
鼻洟
(
はな
)
を垂らしてるやうな連中もあつたツけが。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
が、重い
硝子
(
ガラス
)
戸は中々思うようにあがらないらしい。あの
皸
(
ひび
)
だらけの頬は
愈
(
いよいよ
)
赤くなって、時々
鼻洟
(
はな
)
をすすりこむ音が、小さな息の切れる声と一しょに、せわしなく耳へはいって来る。
蜜柑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
顔は
水膨
(
みづぶく
)
れに気味悪くふくれ、眼は
凄
(
すさま
)
じく一所を見つめ、
鼻洟
(
はな
)
は
半
(
なかば
)
開いた口に垂れ込み、だらりと大いなる
睾丸
(
きんたま
)
をぶら下げたるその
容体
(
ていたらく
)
、自分は思はず両手に顔を
掩
(
おほ
)
つたのであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
が、
重
(
おも
)
い
硝子戸
(
ガラスど
)
は
中中
(
なかなか
)
思
(
おも
)
ふやうにあがらないらしい。あの
皸
(
ひび
)
だらけの
頬
(
ほほ
)
は
愈
(
いよいよ
)
、
赤
(
あか
)
くなつて、
時時
(
ときどき
)
鼻洟
(
はな
)
をすすりこむ
音
(
おと
)
が、
小
(
ちひ
)
さな
息
(
いき
)
の
切
(
き
)
れる
聲
(
こゑ
)
と一しよに、せはしなく
耳
(
みみ
)
へはひつて
來
(
く
)
る。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鼻
常用漢字
小3
部首:⿐
14画
洟
漢検1級
部首:⽔
9画
“鼻”で始まる語句
鼻
鼻緒
鼻汁
鼻頭
鼻唄
鼻面
鼻梁
鼻息
鼻孔
鼻腔