“出入”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
でいり41.5%
ではい12.6%
でい11.3%
しゅつにゅう11.0%
ではいり9.3%
ではひ3.3%
しゆつにふ2.7%
だしい1.3%
いでいり1.0%
いでい1.0%
ではひり1.0%
しゆつにゆう0.7%
だしいれ0.7%
しつにう0.3%
しつにふ0.3%
しつにゅう0.3%
しゆつにう0.3%
でいる0.3%
では0.3%
でへい0.3%
でへえ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こゝに住むこと約半年、さらに同町内の他へ移転した。すると、出入でいり酒商さかやが来て、旧宅にゐる間に何か変つた事は無かつたかと問ふ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
二、三人の募集員が、汚い折り鞄を抱えて、時々格子戸を出入ではいりした。昼になると、お庄はよく河岸かし鰻屋うなぎやへ、丼をあつらえにやられた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
このむらに、もう一人ひとり金持かねもちがありました。そのおとこは、むらのものが、一ぽう金持かねもちのうちにばかり出入でいりするのをねたましくおもいました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
松本法城まつもとほうじょうも——松本法城は結婚以来少しらくに暮らしているかも知れない。しかしついこの間まではやはり焼鳥屋へ出入しゅつにゅうしていた。……
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
多くの取引先や出入ではいりの人達には、もうそれが単なる噂ではなくて、事実となって刻まれている。お島は作の顔を見るのも厭だと思った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
先刻さつきから、出入ではひりのおあき素振そぶりに、けた、爐邊ろべりものをして母親はゝおやが、戸外おもて手間てまれるのに、フト心着こゝろづいて
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
当地では石炭の出入しゆつにふに桟橋費一とんにつき三十五銭取られる如き費用を要するのをかれおいては一切省略しようとするのださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
いまはたいたまゝで、元二げんじが、財布さいふ出入だしいれをするうち縁側えんがははしいた煙管きせるつて、兩提りやうさげつゝ突込つゝこまうとするとき縁臺えんだいしたから、のそ/\と前脚まへあしくろした一ぴき黒猫くろねこがある。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿部家はついで文政九年八月に代替だいがわりとなって、伊予守正寧まさやすほういだから、蘭軒は正寧の世になったのち足掛あしかけ四年阿部家のやかた出入いでいりした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
美田みたの源次が堀川ほりかはの功名にうつゝかして赤樫あかがしの木太刀を振り舞はせし十二三の昔より、空肱からひぢでて長劒の輕きをかこつ二十三年の春の今日けふまで、世に畏ろしきものを見ず、出入いでいる息をのぞきては
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「門口の戸かい、あれは僕が出入ではひりするにけなければならないから開けはするが、締める必要なんかちつとも無いぢやないか。」
こはして宮の冷淡ならざるを証するに足らざるなり、ゆゑは、この女夫めをと出入しゆつにゆうに握手するは、夫の始より命じて習せししつけなるをや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
生麦酒なまビイル出入だしいれをする一段高い台の上には、器械を胸のあたりにして受持のボオイがあたかも議長席に着いたもののように正面を切って身動みうごきもせず悠然と控えている
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此論文は零余子なる慝名とくめいもとにあらはれたが、実は広田のいへ出入しつにうする文科大学生小川三四郎なるものゝふでである事迄分つてゐる。と、とう/\三四郎の名前がて来た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのはなし樣子やうすからしてかんがへると、かれはのべつにういふ場所ばしよ出入しつにふして、その刺戟しげきにはとうに麻痺まひしながら、因習いんしふ結果けつくわ依然いぜんとしてつき何度なんどとなくおなことかへしてゐるらしかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その話の様子からして考えると、彼はのべつにこういう場所に出入しつにゅうして、その刺戟しげきにはとうに麻痺まひしながら、因習の結果、依然として月に何度となく同じ事を繰り返しているらしかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ドストみづか露國ロコク平民社界へいみんしやくわい暗澹あんたんたる境遇けふぐふ實踐じつせんしたるひとなり、しかしてその述作じゆつさくするところは、およ露西亞人ロシアジン血痕けつこん涙痕るいこんをこきまぜて、ふべからざる入神にうしん筆語ひつごて、虚實きよじつ兩世界りようせかい出入しゆつにうせり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
して居るやたゞし又妹が人の世話せわにでもなりて居るかどうぢや其方主人方の番頭久兵衞は汝が處へ常々つね/″\出入でいると申すが全く然樣さやう公儀かみにてはよく御存知なるぞ僞るに於ては其方の爲に相成ず明白に申立よと有りしに藤助はおほいに恐れ私し久々眼病にて甚だ難澁なんじふ仕つり今日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
田地を買って楽にしておいでなさるが、わしも久留島さまへ出入ではいるから、れが御縁になって時々お藤さまを訪ねると、先方むこうさまでもやれこれ仰しゃって下さるから、私もハア時々機嫌聞きにくと
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「分家へくって、これは何うも困りやしたなア、叔父さんは物堅ものがてえから、そんな事を聞かせたら怒って、わしい済みませんで出入でへいりも出来なくなりやんすから、どうか御勘弁をねげえてい」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此奴こいつ矢張やっぱりういう事があるんでげしょう、へえー、なア……鐵やい、左官のまつの野郎が火事の時に手伝って、それから御家様ごけさまとけ出入でへえりをし、何日いつか深い訳になったが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)