出入ではひり)” の例文
「門口の戸かい、あれは僕が出入ではひりするにけなければならないから開けはするが、締める必要なんかちつとも無いぢやないか。」
露西亜ロシヤの虚無党などとも通信し合つて居るさうに御座りまするし、其れに彼奴、教会を放逐された後は、何でも駿河台するがだいのニコライなどへ出入ではひりするとか申すので、警視庁でも
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
今まで間断ひつきりなしに客が出入ではひりして、低い声音せいおんだの、高い哄笑だの、面白さうな笑声せうせいなどがその一室に巴渦ともゑうづを巻いてゐたが——疲れ果てたやうな、早くさういふ人達から自由になりたいといふやうな
時子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
ところが、この頃になつて急に樹に元気がなくなつたので、うした事かと、よく調べてみると、隣りの旅籠屋はたごやから出入ではひりする馬車のせゐで、車の肩が突き当る度に、樹肌こはだが擦りむけてゐたのだと判つた。