時子ときこ
Bはやつとひとりになつた。時計を見ると、もう十時である。ホテルの室の中には、いろ/\なものが散ばつて、かなりに明るい電気が卓の上に、椅子の上に、またその向うにある白いベツトの上に一杯にその光線を漲らしてゐる。今まで間断なしに客が出入して、低 …