“茫然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼうぜん65.4%
ぼんやり25.5%
ばうぜん7.3%
ぼん0.7%
ぼんや0.5%
ぼう0.2%
ぼっ0.2%
ぼっと0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は雪籠ゆきごもりのゆるしを受けようとして、たどたどと近づきましたが、扉のしまった中の様子を、硝子窓越がらすまどごしに、ふと見て茫然ぼうぜんと立ちました。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのかぜもなく、なみおだやかなであったから、おきのかなたはかすんで、はるばると地平線ちへいせん茫然ぼんやりゆめのようになってえました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我家の庭に蝿を見るは毎年五月初旬なるを思ひ、茫然ばうぜんとこの蝿を見守みまもること多時、僕の病体、五月に至らば果して旧に復するや否や。
病中雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
恨まれるは覺悟の前、鬼だとも蛇だとも思ふがようござりますとて、撥を疊に少し延びあがりて表を見おろせば、何と姿が見えるかとなぶる、あゝ最う歸つたと見えますとて茫然ぼんとして居るに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それにしても茫然ぼんやりここにいては、いつまた危険に逢うかもしれぬ、ともかく鳳凰ほうおうの間へ帰ることにしよう。芳江殿どうじゃな歩けるかな?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あの茫然ぼうとして居るやさしい人で、お酒が嫌いだというから、甘味でお茶でも飲んでゝ呉んなまし、生憎あいにくお客が立込んで花魁もおまはんに煙草一服吸い附けて飲ませる間もないのだから
「そうかなあ、そうかなあ」吉次は茫然ぼっとして考えたが、「おいらは醜男ぶおとこで片輪者で、女に思われたことなんかない。俺らの方では想ったがな。 ...
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
例の花里花魁おいらんでございますが、この混雑ごったかえしている中に一層忙がしい、今日で三日三晩うッとりともしないので、只眠いねむいで茫然ぼっとして生体しょうたいがない。