“ぼっ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
51.1%
歿22.6%
18.2%
2.9%
1.5%
0.7%
0.7%
0.7%
茫然0.7%
逆上0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さあぼっちゃん。きっとこいつははなします。早くなみだをおふきなさい。まるで顔中ぐじゃぐじゃだ。そらええああすっかりさっぱりした。
黄いろのトマト (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そうしてH氏は二週間もその苦痛を続けた後に歿ぼっせられたのですが、病院へ見舞に行き合せて氏のその悲痛な言葉を聞いた良人と私とは
婦人改造の基礎的考察 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
けものきばをならべるように、とお国境こっきょうほうからひかったたか山脈さんみゃくが、だんだんとひくくなって、しまいにながいすそをうみなかへ、ぼっしていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼっとなって、辻に立って、前夜の雨をうらめしく、空をあおぐ、と皎々こうこうとして澄渡すみわたって、銀河一帯、近い山のからたまの橋を町家まちやの屋根へ投げ懸ける。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、眼を瞑じ珠数を爪繰って語り出したのは、仄暗い霧の彼方でぼっと燃え上った、異様な鬼火だったのだ。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ヒュウと悲しい音を立てて、空風からかぜが吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の中央まんなかを、砂烟すなけぶりぼっと力のない渦を巻いて、よじれてひょろひょろと行く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と、張詰めて破裂はちきれそうになっていた気がサッと退いて、何だか奥深い穴のような処へ滅入って行くようで、四辺あたりぼっと暗くなると、母の顔が見えなくなった……
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
手拭の運動につれて、圭さんの太いまゆがくしゃりと寄って来る。鼻の穴が三角形に膨脹ぼうちょうして、小鼻がぼっとして左右に展開する。口は腹を切る時のように堅く喰締くいしばったまま、両耳の方までけてくる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
消えてしまった後は、いつもぼっとして考えるのである。なんでこんな景色が目に見えるのであろう。
「そうかなあ、そうかなあ」吉次は茫然ぼっとして考えたが、「おいらは醜男ぶおとこで片輪者で、女に思われたことなんかない。俺らの方では想ったがな。 ...
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
平常いつもはあまり眼に立たぬほどの切れの浅い二重瞼が少し逆上ぼっとなって赤く際だってしおれて見えた。睫毛が長くを霞めている。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)