ぼっ)” の例文
その光には、冷たい清冽な敬虔な気品があって、また、それにぼっとした乳白ミルク色の濁りがあるところは、奥底知れない神性の啓示でもあろうか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして、眼を瞑じ珠数を爪繰って語り出したのは、仄暗い霧の彼方でぼっと燃え上った、異様な鬼火だったのだ。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
たちまち屍光にぼっと赤らんだ壁が作られ、それがまるで、割れた霧のように二つに隔てられてゆき、その隙間に、ノタリノタリと血がのたくってゆく影がしるされていった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)