“濛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
もう71.4%
ぼっ7.1%
ほり7.1%
ぼう7.1%
まう7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
対手あいての姿は見えないで、そこにはもうとした血煙だけが残っていた。衆はうずを巻いて混乱し、一人は真一文字に走っているのだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヒュウと悲しい音を立てて、空風からかぜが吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の中央まんなかを、砂烟すなけぶりぼっと力のない渦を巻いて、よじれてひょろひょろと行く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
掏摸の指でつついても、倒れるような石垣や、蟻で崩れるほり穿って、河野の旗を立てていたって、はじまらねえ話じゃねえか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪崩れが、洞内の各所におこってぼうっと暗くなった。それが薄らぐと崩壊場所の奥のほうがぼうっと明るんでいる——穴だ。それから、紆余曲折うよきょくせつをたどって入口のへんにまで出た。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
初穂はつほ、野菜、尾頭付の魚、供物ぐもつがずつとならんで、絵行燈ゑあんどんや提灯や、色色の旗がそこ一杯に飾られて、稍奥まつた処にあるほこらには、線香の烟がまうとして、蝋燭の火がどんよりちらついて居る。
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)