“もう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:モウ
語句割合
37.4%
15.9%
最早12.8%
11.3%
6.3%
2.8%
2.1%
1.6%
1.2%
1.2%
1.0%
0.8%
0.7%
0.7%
0.6%
0.6%
0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
借りた方は精々せっせっり出して、貸元かしもとの店へ材木を並べるばかり。追っかけられて見切って売るのを、安く買い込んでまたもうける。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうし上げます。町はもうすっかり掃除そうじができてございます。人民じんみんどもはもう大悦おおよろこびでお布令ふれたずきれいに掃除そうじをいたしました」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、お雪や正太しょうたの細君なぞに比べると、もっとずっとわかい芽が、最早もう彼の周囲まわりに頭を持ち上げて来たことを、めずらしく思った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
耕地が一面に向うへひらけて、正面に乙女峠が見渡される……この荒庭のすぐ水の上が、いまもうでた榎の宮裏で、暗いほどな茂りです。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それは感心かんしんですね。このあいだの教員会議きょういんかいぎのときに、この学校がっこうにも託児所たくじしょもうけたらという、先生せんせいがたのご意見いけんたのですよ。」
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、例を引き、因を説きもうひらく、大人の見識を表わすのには、南方氏の説話を聴聞することが少しばかりおくれたのである。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
亦、天皇、其后へ、命詔ミコトモタしめして言はく、「およそ、子の名はかならず、母名づけぬ。此子の御名をば、何とか称へむ。」かれ、答へもうさく、……。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
切て駈付かけつけ來り兩人にて又々彼方此方かなたこなたと尋ね廻り地内の鎭守稻荷堂或ひは薪部屋まきべや物置等ものおきとうのこらずさがしけれ共かげだに見えざれば掃部は不審いぶかりもう此上は和尚を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鶏がしわがれた声で鳴いた。あけぼのの最初の光が、一面にもうと曇った窓ガラスを通して現われた。降りしきる雨におぼれた、悲しい蒼白あおじろい曙であった。
精進の理想をもうなりとせず、芸術科学の大法を疑はず、又人心に善悪の奮闘争鬩そうげきあるを、却て進歩の動機なりと思惟しいせり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
憲政擁護けんせいようごと政治浄化じょうかもう運動を展開している最中なので、それから手をひくわけには絶対に行かない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
世界希覯の多種の貴重生物をして身をかくし胤を留むるに処なからしめて、良好の結果を得たりなど虚偽の報告をたてまつりて揚々たるを厳制されたしともうす。
とかく言い争ってみたが、前とは打って変ってもう旦那はかいの兄弟の言いがかりだと言い張って相手にしない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君子はちょうしてもうせずでございますな、いったん釣りの細かいところの趣味を味わった者には、御隠居の前だが、網なんぞは大味おおあじで食べられません」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仮令ば彼塔倒れた時生きて居やうか生きたからう歟、ゑゝ口惜い、腹の立つ、お浪、それほど我がさもしからうか、嗚呼〻〻生命ももういらぬ、我が身体にも愛想の尽きた
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
女房は、これも現下いまの博多節に、うっかり気を取られて、釜前の湯気にもうとして立っていた。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この時、幕府、夷書を下して言路を開く。余、同志と議し、いやしくも二、三の名侯心をかなえ力をあわせ、正義を発し俗説を排するもの有らば、則ち天下の論定まらんと。しばしばこれを政府にもうす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そう云われると、一刀斎も、衆に対して、「道」の誤まられることをおそれた。愚者のもうをひらいてやるのも修行者の任と思った。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人、全世界をもうくとも、己が生命を損せば、何の益あらん。人その生命の代に何を与えんや。(八の三五—三七)
触るよ、触るどころか、抱いて寝るんだ。何、玉香が、香玉こうぎょくでも、おんなもうじゃは大抵似寄りだ、心配しなさんな。その女じゃああるめえよ、——また、それだって、構わねえ。俺が済度して浮ばしてる。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しゅくもうの二氏を閉息せしめることに成功したが、おしまいに、季氏を押さえる段になって、計画が水泡に帰し、一方、定公は斉の国の誘惑に乗って、季氏とともに美女にたわむれ、宴楽にふけり
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
士と土、爪と瓜、岡ともう、齊と齋、じゅつ、これらの区別は大方知らぬ人もなけれど商(あきなひ)と啇(音テキ)、班(わかつ)と斑(まだら)の区別はなほ知らぬ人少なからず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
しかも口づから承知して置きながら十日とたたぬにもうろくはなさるまじ、あれあの懸けすずりの引出しにも、これは手つかずのぶんと一ト束、十か二十か悉皆みなとは言はず唯二枚にて伯父が喜び伯母が笑顔ゑがほ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そんぢやおめえさんもうものにや不自由ふじいうなしでえゝな」ばあさんはうらやましさうにいつた。さうしてちひさな木片もくへんいれためもつあさきたなふくろ草刈籠くさかりかごからした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
らやうなばゝあでも十ぐれえ背負しよへんだもの、近頃ちかごろぢやもうものが一ばん不自由ふじようやうねえのさな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
のち大江は県令林厚徳はやしこうとくもうして、師範学校を設けることにして、保を教頭に任用した。学校の落成したのは六月である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さてこの奇談が阿部邸の奥表おくおもて伝播でんぱして見ると、上役うわやくはこれをて置かれぬ事と認めた。そこでいよいよ君侯にもうして禄をうばうということになってしまった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
めいつ! ようつ! ずうつ! もうつ! なあつ! やあつ! ごうのつ! お!」とみんなが答えた。
鐘塔の悪魔 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
それと見た一頭の黒い牝牛は尻毛を動かして、塩の方へちかづいて来る。眉間みけんと下腹と白くて、他はすべて茶褐色な一頭も耳を振つて近いた。もうと鳴いてこうしぶちも。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その喜びをもうさんため、神棚に燈火みあかしを点じようとして立った父が、そのまま色をかえて立窘たちすくんだ。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はもうとなった。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥様の方から無理に勧めて置いたお秋様がもうけました若様が、お三歳みっつという時に奥様がお逝去かくれになりましたから、お秋様はお上通かみどおりと成り、お秋の方という。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
太宰府だざいふもうでし人帰りきての話に、かの女乞食にたるが襤褸ぼろ着し、力士すもうとりに伴いて鳥居のわきに袖乞そでごいするを見しという。人々皆な思いあたる節なりといえり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ああ、今夜唯今、与五郎芸人の身の冥加みょうがを覚えました。……ついては、新蕎麦の御祝儀に、じいが貴女に御伽おとぎもうす。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)