もう)” の例文
王大いに喜び諸臣にえらく、もし能く灌頂刹帝大王の命を救う者あらば何をむくうべきやと。諸臣さようの者には半国を与うべしともうす。
亦、天皇、其后へ、命詔ミコトモタしめして言はく、「およそ、子の名はかならず、母名づけぬ。此子の御名をば、何とか称へむ。」かれ、答へもうさく、……。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
然るに世をうるの後はたがいに兵を擁して、以て皇帝をあやうくせり。昔は賈誼かぎ漢の文帝に勧めて、禍を未萌みぼうに防ぐの道をもうせり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
混再拝シテもうス。書ならびニ詩話ヲかたじけなくス。厳粛ノ候尊体福履、家ヲ挙ゲテ慰浣いかんセリ。シテ賜フ所ノ詩話ヲ読ム。巻ヲ開イテ咫尺しせきニシテ飢涎きぜんたちまチ流ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
夢に蒋侯しょうこう、その伝教さんだいふを遣わして使者の趣をもうさす。曰く、不束ふつつかなる女ども、みだり卿等けいらの栄顧を被る、真に不思議なる御縁の段、祝着に存ずるものなり。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妙幢の本誓とは、最勝王経夢見金鼓懺悔品に、妙幢菩薩鷲峯山に仏に謁して夢中の事をもうし、仏前に頌を説く。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
頑児矩方のりかた、泣血再拝して、家厳君、玉叔父、家大兄の膝下しっかもうす。矩方稟性ひんせい虚弱にして、嬰孩えいがいより以来このかたしきりに篤疾とくしつかかる。しかれども不幸にして遂に病に死せざりき。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
百官をべ、万機を行ない、天下をはかもうする者、太政大臣だじょうだいじんの上に坐し、一ノ上とも、一ノ人とも、一ノ所とも申し上ぐる御身分、百せいの模範たるべきお方であるはずだ。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もうしたほどのばからしさが、新富座開場式には、俳優の頭領市川団十郎をはじめ、尾上菊五郎、市川左団次から以下、劇場関係者一同、フロックコートで整列し、来賓には、三条太政大臣だじょうだいじんを筆頭に
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いっそ一億金と定めるがよいと決議し王にもうし、王それだけの金を遣わして馬を得、うまやに入れて麦と草を与えると食わず。
いざなぎの禊ぎに先だって、よもつひら坂に現れて「もうこと」あった菊理クヽリ媛(日本紀一書)は、みぬま類の神ではないか。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
御年おんとし四十にして、御鬚おんひげへそぎさせたもうに及ばせたまわば、大宝位たいほういに登らせたまわんことうたがいあるべからず、ともうす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
神職 ははっ、ははっ、恐れながら、御神おんかみに伺い奉る、伺い奉る……つつしみ謹みもうす。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伊邪奈美命答へもうしたまはく悔しきかも速く来まさずして、吾は黄泉戸喫よもつのへぐいしぬ。然れども愛しき我那勢命なせのみこと入り来ますことのかしこければ、まづつばらか黄泉神よもつのかみあげつらはん、我をなたまひそ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
宮中の美人、皆侵掠され、百余日の後、懐妊する者おおく、いで往きて王にもうし、罪咎ざいきゅうを免れんとねがう。王これを聞きおわりて、心大いに悦ばず、云々。
滔々とうとう数千言すせんげんつぶさに其の人となりを尽す。うちに記す、晩年ますます畏慎いしんを加え、昼のす所の事、夜はすなわち天にもうすと。愚庵はたゞに循吏じゅんりたるのみならざるなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
又、其后のもうしのまゝに、みちのうしの王の女等、比婆須ひばす比売命、次に弟比売命(次に弟比売命……命……命とあるべきところだ)次に、歌凝うたごり比売命、次に円野まとの比売命、併せて四柱を喚上メサげき。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
王怒ってその若者、および四妻を捕え刑せんとした。若者すなわちその謀を王にもうし、匿し置いた孔雀を還したので、王感じ入って不貞の両妻を誅した。
王「委細は先刻から承知の介だ、この少童を伴れ去って木を斫らすがよい、またこの人をるから鉄砲を持たせ」、豹殺し「父よ今こそ掌をって御礼をもうします」
妻、夫にもうしていわく、わが父の長者、命終に臨める時、宝をもってわれに賜い、今某処にあり、君これを取るべし、と。時に夫掘り取って、大いに珍宝と如意珠を
主人数十人をひきい、往き掘りてその金を得、引き返して穀賊の前へ叩頭こうとうし、何とか報恩供養したいから拙宅へ二度入りをともうすと、穀賊、さてこそと言わぬばかりに答うらく
四分律蔵しぶりつぞう』に、仏文驎ぶんりん水辺で七日坐禅した時、絶えず大風雨あり、〈文驎竜王自らその宮を出で、身を以て仏をめぐる、仏の上をおおいて仏にもうして言わく、寒からず熱からずや
御者王にもうす、還って安眠せよ、また驚くなかれ、長生王の子長摩納実はそれがしなりと。
天孫降下の間先駆者還ってもうさく、一神あり天の八衢やちまたにおり、その鼻長さ七せき、背長さ七尺余(まさに七ひろと言うべし)、かつ口尻明耀めいよう、眼八咫やたの鏡のごとくにして赩然、赤酸醤に似たりとありて
無数の宝をおさめた四大倉庫自然に現出すると、守蔵人、王にもうす。