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朦
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もう
ここにも、そこにも、ふらふらと、春の日を
中へ取って、白く
点したらしく、真昼浮出て
朦と明るい。いずれも御泊り
木賃宿。
女房は、これも
現下の博多節に、うっかり気を取られて、釜前の湯気に
朦として立っていた。
取ると、……むら/\と
一巻、
渦を
巻くやうに
成つて、
湯気が、
鍋の
中から、
朦と
立つ。
框へ
出た
主人を
見ますと、
鉦をたゝき
止めて、
朦とした
卍の
影に
立つて
居ました。
日蝕の時のような、草の
斑に黒い、
朦とした月明りに、そこに
蹲んだ男がある。