もう)” の例文
ここにも、そこにも、ふらふらと、春の日をうちへ取って、白くひともしたらしく、真昼浮出てもうと明るい。いずれも御泊り木賃宿きちんやど
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女房は、これも現下いまの博多節に、うっかり気を取られて、釜前の湯気にもうとして立っていた。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ると、……むら/\と一巻ひとまきうづくやうにつて、湯気ゆげが、なべなかから、もうつ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かまち主人あるじますと、かねをたゝきめて、もうとしたまんじかげつてました。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
日蝕にっしょくの時のような、草のまだらに黒い、もうとした月明りに、そこにしゃがんだ男がある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)