もう)” の例文
そして、おくにのため、なかのためにはたらく、りっぱな人間にんげんとなってください。これが、わたしからみなさんにもうしあげる最後さいご言葉ことばです。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうし上げます。町はもうすっかり掃除そうじができてございます。人民じんみんどもはもう大悦おおよろこびでお布令ふれたずきれいに掃除そうじをいたしました」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
何かと遠慮いたされまするかるもういでゆえ、ずいぶん躊躇もいたしましたけれども、いろいろとそちらの御様子などお聞きいたし
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
すると良人おっとわたくし意見いけんちがいまして、それはあま面白おもしろくない、是非ぜひ若月わかつき』にせよとって、なんもうしてもれないのです。
ふたりのものはこしもかけないで、おまえが口上こうじょうもうしてくれ、いやおまえがと、小声こごえってる。老人はもとより気軽きがるな人だから
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
こういうわけで、少年はすぐさまそのもういで承知しょうちしました。そして、小人がいだせるように、網をゆり動かすのをやめました。
和尚おしょうさま、きますとゆうべねずみがこちらへがって、わたくしどもの悪口わるくちもうしたそうですね。どうもけしからんはなしでございます。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして五人はかけました。一れつになって規則正きそくただしく進んで行きます。これくらいきちんとして出かければ、もうぶんはありません。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
「これはもうし上げられませぬ。てまえのかってな用事ようじをたしにでかけたのです。どうもほかの時刻じこくでは、つごうがわるいものですから。」
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
折角せっかく御親切ごしんせつでおますが、いったんおかえししょうと、ってさんじましたこのおび、また拝借はいしゃくさせていただくとしましても、今夜こんやはおかえもうします
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そこで、外國人ぐわいこくじん吾等われら立去たちさつたあとで、このしま上陸じやうりくして、此處こゝ自分じぶんが、第一だいいち發見はつけんしたしまだなんかと、くだひたつて無益だめもうすのだ。
じつもうすとわたしうたがっているのです。しかしもっとも、わたくし或時あるときなんもののようなかんじもするですがな。それは時時ときどきこうおもうことがあるです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこでひとりの男が総代そうだいとなって、王様の住んでいられる宮殿きゅうでんへまいりました。そして、王様にこうもうし上げたんです。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「一つ皮肉ひにくに、せんだって使者にまじってきた、菊池半助きくちはんすけをたずねて、一晩ひとばんめてくれともうしこんで見ようじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたしは二日まえに、ちゃんともうしたはずですわ。これいじょうお金を送ってくるのなんかっていられないんです。
じや、もうしますわ。あたしは女手おんなでひとつで、青流亭せいりゅうてい切廻きりまわしていますからね、ひとにはえぬ苦労くろうもあるんですよ。ハッキリいうと、パトロンがあります。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
わたくしは星野ニャン子ともうします 地球のねこをんなの子であります 仕事はわるねずみべたり 追つたりいたします
同時に、今まで世間に向って、積極的に好意と親切を要求する勇気をたなかった彼は、突然この主人のもういでに逢って少しまごつくくらい驚ろいた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かみさまがそとにでかけていらっしゃるあいだは、だれもなかにいれてはいけないとおもうしつけをうけているのだ。
面白おもしろげなる顔色がんしよく千番せんばんに一番さがすにも兼合かねあひもうすやらの始末しまつなりしにそろ度々たび/″\実験じつけんなれば理窟りくつまうさず、今もしかなるべくと存候ぞんじそろ愈々いよ/\益々ます/\しかなるべくと存候ぞんじそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ドゥチコフは、シューラ・ドリーニンが外套室がいとうしつで、人の外套がいとうのポケットをさぐっているのを、自分の目で見たともうてた。シューラは生徒監せいとかん部屋へやばれた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
おまえも知ってのとおり、花世は甲子きのえねの年の生れ、大黒様のもうのようなやつだから、それで、こうして、いくぶんの義理をたてておる。これだけは見のがしてくれ
もうし。お寒うはござりませぬか」笛を置いた若衆の左の手が、仰向あおむけになっている甘利の左の胸を軽くおさえた。ちょうど浅葱色あさぎいろあわせもんの染めいてある辺である。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
蓋原文は言語ことばに近く訳文は言語ことばに遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一ぴつもうす火の用心ようじん阿仙おせんなかすな、うまこやせ」と火をいましむるは家をまもる第一緊要的きんようてきの事
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
関東煮屋をやると聴いて種吉は、「海老えびでも烏賊いかでも天婦羅ならわいに任しとくなはれ」と手伝いの意をもうでたが、柳吉は、「小鉢物はやりまっけど、天婦羅は出しまへん」
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
帝、我を奈何いかんせんとするぞや、と問いたもう。震こたえて、君は御心みこころのまゝにおわせ、臣はみずから処する有らんともうす。人生の悲しきに堪えずや有りけん、その駅亭にみずからくびれて死しぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「静まれ、無体むたいなことをもう。」
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ものもうの声に物る暑さかな
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
魔法使まほうつかいは、うつくしいはなまえにいって、おなじようにいのりをささげました。はなは、魔法使まほうつかいをとおして、おうさまにおこたもうしあげました。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その時こうのにわとこのかげからりすが五ひきちょろちょろ出てまいりました。そしてホモイの前にぴょこぴょこ頭を下げてもうしました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
くちもうしたらその時分じぶんわたくしは、えかかった青松葉あおまつばが、プスプスとしろけむりたてくすぶっているような塩梅あんばいだったのでございます。
それで夫婦ふうふ朝夕あさゆう長谷はせ観音かんのんさまにおいのりをして、どうぞ一人ひとり子供こどもをおさずけくださいましといって、それはねっしんにおねがもうしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
其事そのことこの虎髯ひげがおはなしもうすのが順當じゆんたうでせう。』と不意ふゐ室内しつない飛込とびこんでたのは、れい磊落らいらくなる虎髯大尉こぜんたいゐ本名ほんめい轟大尉とゞろきたいゐであつた。
打明うちあけてもうしますとな、エウゲニイ、フェオドロイチもうわたくしうからこんなことになりはせんかとおもっていましたのさ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どくだが、またあらためて、ってやっておもらいもうすより、仕方しかたがないじゃなかろうかと、じつ心配しんぱいしているわけだが。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いや、せっかくよいこころで、そうしてとどけにたのを、へんなことをもうしてすまなかった。いや、わしは役目やくめがら、ひとうたがうくせになっているのじゃ。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
旅程にかけては、万事私の思いのままになっている兄さんが、なぜその時に限って断然私のもういでを拒絶したものか、私にはとんと解りませんでした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
増山ますやまさん(となりの主人)いやはやまことに面目めんぼくもないしだいで、なんとももうしあげようもありません」
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
オンドリは、このもうがたいへん気にいりました。それで、こんどは、四ひきそろってでかけました。
遠路えんろ浜松城はままつじょうからおこしのお使者、ごくろうです。福島市松ご案内あんないもうしあげる。こちらへ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほんとうに、海の旅をするのには、もうしぶんのないお天気でした。ただ、ひとつ、残念ざんねんなのは、空がすっかり晴れわたっていないので、灰色のうすぎぬをひいたようになっていることでした。
用件ようけんは……それはもうせませんわ。ぜつたいにあたし、もうしませんから」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
其処へ移ってからなお二三日は、殿はまだそれをお知りになった様子もなかった。ようやく五六日立ってから、「どうしておれに知らせてくれなかったのだ」と御文をもうわけのように寄こされた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「お客さま、ちょっとうかがわせておもらいもうしてえだが——」
もうし上げます。如来正※知にょらいしょうへんちはあしたの朝の七時ごろヒームキャのかわをおわたりになってこの町にいらっしゃるそうでございます」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、まれには、結婚けっこんもうんでくるものもありましたけれど、四にんは、けっして、それらのひとたちには、いませんでした。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おやおや、それはおこまりだろう。だがごらんのとおり原中はらなかの一軒家けんやで、せっかくおもうしても、てねる布団ふとんまいもありませんよ。」
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
口頭くちさきですっかりさとったようなことをもうすのはなんでもありませぬが、実地じっちあたってるとおもいのほかこころあかおおいのが人間にんげんつねでございます。
もし、若旦那わかだんなわるいこたァもうしやせん。おまえさんが、鯱鉾立しゃっちょこだちをしておよろこびなさる、うれしいはなしいてめえりやしたんで。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたくしちちにはひど仕置しおきをされました。わたくしちち苛酷かこく官員かんいんであったのです。が、貴方あなたのことをもうしてましょうかな。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)