“ぼう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ボウ
語句割合
28.4%
23.5%
18.8%
6.6%
5.4%
1.9%
1.7%
1.6%
1.2%
1.2%
0.9%
0.9%
0.7%
0.7%
0.7%
茫乎0.7%
0.3%
0.3%
0.3%
僧侶0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
帽子0.2%
恍惚0.2%
0.2%
0.2%
惘乎0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
茫然0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ぼうや、こまったな。おうちのあるまちがわからなくては。」と、おじいさんは子供こどもをいたわりながら、ちいさないてあるいてきました。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
竹童はすばやくねかえって、チャリン! とそれを引ッぱずした。が、それはけんの法ではなく、いつも使いなれているぼう呼吸いきだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気が違わぬから、声を出して人は呼ばれず、たすけを、人を、水をあこがれ求むる、瞳ばかりみはったが、すぐ、それさえもぼうとなる。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先年川原井ぼうが薬屋の手代を殺したときも、便所の中のビール壜が有力な証拠となってね。して見ると臭い所も馬鹿にはならぬ。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ぼくは別れて、後ろの席から、あなたの、お下げがみと、内田さんの赤いベレエぼうが、時々、動くのを見ていたことだけおぼえています。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
それだから繩の一ぼうも綯ひ出すとか朝草の一籠も餘計に刈るとか仕事に差支がなければ怪我に一言もしみ/″\した小言などはいはぬが普通である。
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あなたも、いずれお死ににならなければならないでしょうし、わたしも故郷こきょうぼうじがたしで、このへんをもういちど見ておきたいとおもったのです。
しかしその日になりその時間になると、クリストフは待ちぼうけをくわされた。当てがはずれた。彼はジョルジュと再会することに子供らしい喜びを覚えていた。
もし一朝、鎌倉の旗いろが悪いとなったら、やぶれかぶれの鎌倉はどんなぼうでもやりかねん。配所がえは、その準備であろ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
更にすすめば大別山だいべつざんの高峰眼下にあり、ふもとには水漫々の月湖ひろがり、更に北方には漢水蜿蜒えんえんと天際に流れ、東洋のヴェニス一ぼうの中に収り
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
指環は緑紅りょくこうの結晶したる玉の如きにじである。まぶしかつたらう。坊主はひらいた目も閉ぢて、ぼうとした顔色がんしょくで、しつきりもなしに、だら/\とよだれを垂らす。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
りにも名人上手とうたはれた者は年をとつてつまらぬ棋譜きふのこすべきでない——と自重を切ぼうしたといふ。これは或る意味いみ悲壯ひそうな、而もはなはあじはふべきことばだ。
あわせて呂蒙は、自分の仮病は敵方に対する当面の一ぼうに過ぎない旨を語って、主君に心をわずらわせたことを詫びた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しこうして礼をたっとび学を重んじ、百ぼううち、手に書をめず、孔子のおしえを篤信し、は誠に万世の師なりと称して、衷心より之を尊び仰ぎ、施政の大綱、必ずこれに依拠し、又蚤歳そうさいにして仏理に通じ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今夜こんやこれからすぐてき本営ほんえい高松殿たかまつどのにおしよせて、三ぼうから火をつけててた上、かってくるてきを一ぽうけてはげしくてることにいたしましょう。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
が、又何となくふしぎに目のとどくところに茫乎ぼうとした影が、ちぢまり震えて見えるような気もした。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
待ツノ止ム可カラザルニ至レリ居ルコト年余偶々たまたまぼうヲ理科大学助手ニ承ケ植物学ノ教室ニ仕フ裘葛きゆうかつフル此ニ四回時ニ同学新ニ大日本植物誌編纂ノ大業ヲ起コシ海内幾千ノ草木ヲ曲尽シ詳説しょうせつけいトシ精図ヲトシ以テ遂ニ其大成ヲ期シまことニ此学必須ひっすノ偉宝ト為サント欲ス余幸ニ其空前ノ成挙ニ与リ其編纂ノ重任ヲかたじけのフスルヲ
まして、この事件に妖異な雰囲気をかもし出した当のテレーズが、荒れすすけた室の暗闇の中から、ぼうっと浮き出たのであるから、その瞬間、三人がハッとして息をめたのも無理ではなかった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いたずらに人をぼう
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めからおしまいまで普通の聖書の通りの文句で、一字一字ごとに狂いのないところを見ますと、よっぽど信仰の深い僧侶ぼうさんが三拝九拝しながら写したもんですね。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
つまり悪魔の聖書と申しますか。外道祈祷書と申しますか。ソイツを作り出したシュレーカーっていう英国の僧侶ぼうさんが、自分の信仰する悪魔の道を世界中に宣伝する文句になっているんですね。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それでその「木」へぼうを彫って、其処そこだけ特にしゅを入れたんだそうです。それきり、幽霊は出ては来なかった。
□本居士 (新字新仮名) / 本田親二(著)
その「本」とい字の下の十の横のぼうしゅが入れてあるのです。今げんにその朱が入っています。
□本居士 (新字新仮名) / 本田親二(著)
と大藏は跡へ帰って硯箱を取出して手紙をしたゝめ、是から菊が書いた起請文を取出して、大藏とある大の字の中央まんなかへ(ぼう)を通してね、右方こちらへ木の字を加えて、大藏を林藏と改書なおして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぼうじにし者どもなり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今頃しあのぼうさんの馬鹿気た訓戒を守つてゐたなら私等は何処にゐるだらう? 一日七十五銭で床板の拭掃除にこき使はれてさとゞのつまりは養育院厄介だらうぢやないか?——
ウォーレン夫人とその娘 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
かく蛇を霊怪ふしぎ視したなるミヅチを、十二支のに当て略してミと呼んだは同じく十二支のをネズミの略ネ、ぼうを兎の略ウで呼ぶに等し。
貫一はほとほと疑ひ得らるる限疑ひて、みづからも其のぼうすぐるの太甚はなはだしきを驚けるまでに至りて、始てめんと為たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二階の足場に、三ぼうを抱えて立ち上った出入りの棟梁とうりょうが、わし掴みに、下を眼がけてバラバラッ! とやるごとに、群集は、押す、る、くぐる——果ては、女子供が踏まれて泣き叫ぶ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
主税は四辺あたりを見たのであろう、やみの青葉に帽子ぼうが動いた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くものは、ぢて恍惚ぼうとした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
して己れの心をそのまま存する者はこわがりもせぬ。怖気おじけは自己の心を離るるより起こる。漢字で立心扁りっしんべんに去る(きょう)布く()芒ふ(ぼう)をつけてこわがるの意を現すもゆえありというべし。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
小屋に辿りついて裏口から入って行くと、息苦しいほどのうん気のたちこめた薄暗いランプの下で、狭山はこちらに背を見せてぼう然と坐っていた。
海豹島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その顏がまた、彼の惘乎ぼうとなつた眼の前に、室いつぱいに擴大されて行くやうな變異な相貌となつて、おつぶさつて來るやうに見えた。彼はすつかり、窒息的な呼吸遣ひに陥いつてゐた。
奇病患者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
四人は一ぼうの土にむかって合掌がっしょうした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
十番はどっちへあたるか、二の橋の方は、と思うと、すぐ前を通るらしい豆府屋の声も間遠に聞え、窓の障子に、日がすともなく、かげるともなく、ぼうとして、妙に内外うちそと寂然ひっそりする。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪崩れが、洞内の各所におこってぼうっと暗くなった。それが薄らぐと崩壊場所の奥のほうがぼうっと明るんでいる——穴だ。それから、紆余曲折うよきょくせつをたどって入口のへんにまで出た。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
仰ぐと、黄金のぼう白碧はくへき楼台ろうだい、大坂城の大天守閣は、市のどこからでも見える。三郎兵衛は田舎者のように、大路小路を迷って、ようやく、脇坂甚内の邸をたずねあてた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや、あれは何だろう」それはぼうッと、ほの赤い光であった。二百メートルほど先の、東京ビルの横腹を一面に照らしている一大火光いちだいかこうであった。はじめは火事だろうかと思った。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あの茫然ぼうとして居るやさしい人で、お酒が嫌いだというから、甘味でお茶でも飲んでゝ呉んなまし、生憎あいにくお客が立込んで花魁もおまはんに煙草一服吸い附けて飲ませる間もないのだから
今一歩を踏み出せば、せっかくの嫦娥じょうがが、あわれ、俗界に堕落するよと思う刹那せつなに、緑の髪は、波を切る霊亀れいきの尾のごとくに風を起して、ぼうなびいた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
史記の仲尼弟子列伝中に孔子が、「吾言を以て人を取り之を宰予さいよに失う。ぼうを以て人を取り之を子羽しうに失う」と云っている。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
臧武仲ぞうぶちゅうは、罪を得て魯を去る時、その領地であったぼうにふみとどまり、自分の後嗣を立てることを魯君に求めたのだ。彼が武力に訴えて国君を強要する意志はなかったといっても、私はそれを
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ぼうとなる大願発起痴話熱燗あつかんに骨も肉もただれたる俊雄は相手待つ間歌川の二階からふと瞰下みおろした隣の桟橋さんばしに歳十八ばかりのほっそりとしたるが矢飛白やがすりの袖夕風に吹きなびかすを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)