ぼう)” の例文
丸太まるたぼうを立てて、そのいちばん下を力いっぱいはらったのと変わらない。モンクスは自分の足を上に、ずでーんとたたきつけられた。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
竹童はすばやくねかえって、チャリン! とそれを引ッぱずした。が、それはけんの法ではなく、いつも使いなれているぼう呼吸いきだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、犬とカエルがおらのものをとりましたで。そいから、肉屋のやつは、金のかわりにおらにぼうをくらわしたでごぜえます。」
「ドクター・ケンプは、いつもぶっきらぼうにものをいう。しかし心はいい人なんだから、君たちは恐れずに、何でも質問したまえ」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なんと、飴屋あめやさんの上手じやうずふえくこと。飴屋あめやさんはぼうさききつけたあめとうさんにもつてれまして、それからひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おどろく警官けいかん説明せつめいして、博士はくしは火かきぼうを手にして、台所に向かった。それに二人の警官も火かき棒を持って、あとにつづいた。
呂昇なぞも、女義太夫としては外貌そつぽもよし、声もよいが、平常ふだん咽喉を使ひ過ぎるせゐで、首がぼうくひのやうにがつしりと肥つてゐる。
とんぼが、きゅうりや、すいかのおおきなうえまったり、ぼうさきまったりしているほか、だれも人影ひとかげがなかったのです。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、またぼうをすべりおりて、さっき下に置いておいたものを取りあげると、もう一ど、かごをめがけてよじのぼりました。
もう夜中をぎていた。いよいよおしまいの一番をやるときに、かれらが演芸えんげいに使っていた大きな鉄のぼうがマチアの足に落ちた。
振向ふりむざまに、ぶつきらぼうつて、握拳にぎりこぶしで、ひたいこすつたのが、悩乱なうらんしたかしらかみを、掻毮かきむしりでもしたさうにえて、けむりなび天井てんじやうあふいだ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さっきね丸太まるたぼうのようなものを持ってね、ここを通ったから声をかけるとね、おれは大どろぼうを打ち殺しにゆくんだといってたっけ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
おつぎは二ちやうばかり上流じやうりう板橋いたばしわたつてつて、やうやくのことでえだげてそのはりをとつた。さうしてまた與吉よきちぼうけてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは、森の中に青くさしんでいた一本の日光のぼうが、ふっとえてそこらがぼんやりかすんできたのでもわかりました。
お時が出て行くや否や、小林はやぶからぼうにこんな事を云い出した。お延は相手が相手なので、あたらずさわらずの返事をしておくに限ると思った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
王さまは靴屋くつやの店からとびだしました。とびだすとき、ひおいのぼうにごつんと頭をぶつけて、大きなこぶをつくりました。
王さまと靴屋 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
親分と唖の巳代吉の間はいよ/\睨合にらみあいの姿となった。或日巳代吉は手頃てごろぼうを押取って親分に打ってかゝった。親分も麺棒めんぼうをもって渡り合った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
アフリカ某地方ちはうの土人は土堀つちほり用のとがりたるぼう石製せきせいをばつばの如くにめてをもりとし、此道具どうぐ功力こうりよくを増す事有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
溝のごとく深い一線の刀痕——黒襟くろえりかけた白着に、大きく髑髏しゃれこうべの紋を染めて、下には女物の派手な長襦袢ながじゅばんが、たけぼうみたいなやせすねにからまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
『もういゝ、玄竹げんちく其方そち江戸攻撃えどこうげききた。なうこつな。』と、但馬守たじまのかみ玄竹げんちくのぶツきらぼうひたいことをふのが、きでたまらないのであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これは五六寸ごろくすんから一尺いつしやくぐらゐのながさのものでありまして、まるぼうあたまところふくれてゐます。そのふくれたところに、種々しゆ/″\模樣もようつてあるものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
『おつ魂消たまぎえた/\、あぶなく生命いのちぼうところだつた。』と流石さすが武村兵曹たけむらへいそうきもをつぶして、くつ片足かたあしでゝたが、あし幸福さひはひにも御無事ごぶじであつた。
たてに受ると見えしが無慘むざんや女は一聲きやつとさけびしまゝに切下げれば虚空こくうつかんでのたうつひまに雲助又もぼう追取おつとり上臺がひざを横さまにはらへば俯伏うつふしに倒るゝ所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さるかおっかかれたといっては、おいおいして、てつぼうなにもほうりして、降参こうさんしてしまいました。
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
床屋さんのあめぼうみたいな模様が眼の中にゴミみたいにたまつちやつて、みんな色盲になるつて心配してたわ
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
それで林太郎は、はあはあいいながら夢中むちゅうで進んでいきました。そしてやっと町の入口へついたときは、足はぼうのようになり、頭はぽうーっとなっていました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ロボはもう向かってくる勢いもないから、私達わたしたちはその口へぼうをかませ、太綱ふとづなであごをしばった。いまはかれは、まったく観念したような目で私たちを見ている。
みぢかい竹切れかぼうでなければ、美しい小包の紐だつたが、それを持たなくなり、もう十五歳になつた。
神のない子 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
ストーヴの火掻ひかぼう、金庫やドアの把手など、指紋の残っていそうな箇所を入念にふきとった。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
てんびんぼうかなんかで、なぐころしにでもしなきや、はらむしがいえねえんですからね——。が、まア、ころされやがつて、天罰てんばつというところでしよう。ありがてえとおもいます。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
骨董集こつとうしふ上編下、かゆの木のくだりに、○粥杖かゆづゑ祝木いはひぎ○ほいたけぼうといふ物、前にいひし斗棒とぼうに同じ。
しかし、松江のまちが自分に与えたものは満足ばかりではない。自分は天主閣を仰ぐとともに「松平直政まつだいらなおまさ公銅像建設之地」と書いた大きなぼうぐいを見ないわけにはゆかなかった。
松江印象記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あいちやんはぼうれや枯葉かれはかさなつたうへりてて、みづながれは此處こゝきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かんがえてもねえ。これがきんぼうけずったこなとでもいうンなら、ひろいがいもあろうけれど、たかおんなつめだぜ。一貫目かんめひろったところで、瘭疽ひょうそくすりになるくれえが、せきやまだろうじゃねえか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
はるかへかりが、かへつてしまつたのちはないても、どもはかり姿すがたえないので、『がん/\竿さをになれぼうになれ』といふ童謠どうよううたふことも出來できないでゐるそのどものさびしい氣持きもちを
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
男先生はオルガンの前から教壇きょうだんにきて、いつもの授業じゅぎょうのときのように、ひっちく竹のぼうの先で、一語一語をししめしながら、この歌の意味を説明しはじめた。まるで修身しゅうしんの時間のようだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
おつきの人たちは、そのとき、おかくれになった陛下のおすがたを、おがむつもりで、はいってきましたが——おや、っと、そのままぼうだちに立ちすくみました。そのとき皇帝はおっしゃいました。
やぶからぼうに、そんな事を言っても判りゃしません。もう少し順序を立てて話してみて下さい。不思議な話や、変った話を聞くのが、言わば私の商売みたいなものだから、笑いもどうもしやしません」
ばんちやうにて倒候たふれさふらふせつは、六しやくぼうにて追払おひはらはれ、握飯むすび二個ふたつ番茶ばんちやぱい
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうです、一つ」彼はやぶからぼうに鑵を老翁の前につき出した。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
わはあ 地きうのおきやくひしんぼう
「ふむ。べらぼうめ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
するととりりてたので、二十にんこなひきおとこは、そうががかりで、「ヨイショ、ヨイショ!」とぼうでもって石臼いしうすたかげました。
どこへでも、一ヵ所、風穴かざあなができて見ろ、こんがりとした二つの骸骨しゃりこうべが、番士ばんしの六しゃくぼうき分けてさがしだされるのはまたたくだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのからすは、てきとけんかをしたものか、また、鉄砲てっぽうたれたものか、また、もちぼうにでもかかったものか、みぎつばさやぶれていました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なる程そんな約束をした事はたしかにあつた。」博士は両手を卓子テエブルの上につゝかぼうにして、その上に膨れた顔を載せて平気で言つた。
小人は、リスの言いたいことをすっかり聞いてしまいますと、またぼうをすべりおりて、いそいで門からかけだしていきました。
おまえは百姓ひゃくしょうたちの仲間なかまにいて、手あらく生き物を取りあつかっては、言うことを聞かないとぼうでぶつようなところばかり見てきたのだろう。
町の人は、三人四人と組んで自警団じけいだんをつくり、鉄砲てっぽうやこんぼうをもって警戒けいかいにあたった。みなと船着場ふなつきば汽車きしゃ停車場ていしゃば、おもだった道の出入り口。
重い、ほう、天びんぼうがひとりでに、磁石じしゃくのようにきみの手へいて行った。太陽たいようマジックなんだほんとうに。うまい。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)