“房(ぼう)” の例文
現(げん)、天皇後醍醐のお乳(ち)のひとの父であり、天皇の御信任はもちろんのこと、いわゆる“重臣の三房(ぼう)”(北畠親房(きたばたけちかふさ)、万里小路宣房(までのこうじのぶふさ)、吉田定房)
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それだから繩の一房(ぼう)も綯ひ出すとか朝草の一籠も餘計に刈るとか仕事に差支がなければ怪我に一言もしみ/″\した小言などはいはぬが普通である。
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その葦の枯葉が池の中心に向って次第に疎(まばら)になって、只枯蓮(かれはす)の襤褸(ぼろ)のような葉、海綿のような房(ぼう)が碁布(きふ)せられ、葉や房の茎は、種々の高さに折れて、それが鋭角に聳(そび)えて
雁 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
相(そう)、豆(ず)、駿(すん)、遠(えん)、尾(び)、濃(のう)の間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延(まんえん)し、東は房(ぼう)、総(そう)、常(じょう)、野(や)、武(ぶ)、信(しん)の諸州にも伝播(でんぱ)し、当年に至りては奥(おう)州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それをどうやらこうやら追散らして、院内の房(ぼう)を一つ一つ覗いてあるいた。
怪談 (新字新仮名) / 平山蘆江(著)
と、いつだつたか僕(ぼく)の女房(ぼう)が言つた。
「うむ……」慈円はうなずいて、木履の音を房(ぼう)のほうへ運んで行った。すると、房の式台の下にかがまって、手をついている出迎えの若僧があった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉水の念仏道場は、およそ三つの房(ぼう)にわかれていた。二つ岩の房(中の房)——松の下の房(東の新房)——吉水の房(西の本房)の三箇所である。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
範宴は、あまりに消息を欠いたので、師の房(ぼう)を見舞うつもりで来たのであるが、その師の房から、先に見舞われて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万里小路宣房(までのこうじのぶふさ)、北畠親房の三卿を登用召され、世間ではそれを“三房(ぼう)ノ智(ち)”と申したりしておりますそうな
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は、はるか大屋根の端の廊をまがって、一房(ぼう)のうちへ、こう呼んでいた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その夜は三井寺(みいでら)の房(ぼう)に一泊し、あくる日、京都へ向った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠くの房(ぼう)の内で、尊氏の返辞が、大きく聞えた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)