ぼう)” の例文
と法水は、異様なものをほのめかしたけれど、ウルリーケの顔は咄嗟とっさに硬くなり、雲のようなぼうとしたものが舞い下りてきた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まして、この事件に妖異な雰囲気をかもし出した当のテレーズが、荒れすすけた室の暗闇の中から、ぼうっと浮き出たのであるから、その瞬間、三人がハッとして息をめたのも無理ではなかった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)