ぼっ)” の例文
こっちの部屋から流れこんで行く燈光ひかりで、その部屋はぼっと明るかったが、その底に濃紫こむらさき斑點しみかのように、お八重は突っ伏して泣いていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぼっとなって、辻に立って、前夜の雨をうらめしく、空をあおぐ、と皎々こうこうとして澄渡すみわたって、銀河一帯、近い山のからたまの橋を町家まちやの屋根へ投げ懸ける。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『妾は幸福でござります。妾も貴郎あなた様をお愛しします』と、ぼっとした声でお答えしたはずだ
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
火事の光が水に映り四辺あたりぼっと明るかった。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)