“ぼうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
茫然56.3%
呆然36.6%
惘然5.5%
懵然0.6%
厖然0.4%
尨然0.4%
房全0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その朝皇帝万歳を叫んだすべての口は、今はただ茫然ぼうぜんとうち開いてるのみだった。彼らはほとんど皇帝をも見知らないがようだった。
若者はそのみごとな仙術せんじゅつにみとれてしばらく呆然ぼうぜんとたたずんでいたが、やがてかんむりのひもをむすびなおすと、いそいそと帰っていった。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
サン・マルタン会堂の大時計の音が聞えると、惘然ぼうぜんとしていたのから我れに返って、また出かける時間であることを思い出すのだった。
老余らうよ懵然ぼうぜんとして、走馬燈の回転するのを見るやうな、過去の追想をたのしむに過ぎない。
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
優に一部の書を成すに足るこの題目を、かくの如く要約する一事に至っては、厖然ぼうぜんたる大著とするよりあるいは困難であるかも知れぬ。
「俳諧大要」解説 (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
のぼさんと欲せしこと、一日に非ざりしも、南船北馬暖席にいとまなく、かつ二雪霜の間に集積せるところは、尨然ぼうぜん紛雑ふんざつし容易に整頓すべからずして、自ら慚愧ざんきせざるを得ざるものあり。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
信濃しなのの山の上に咲く石楠しゃくなげの花の純粋にもたとえたいような、その美しい性質は、おのずから多くの人の敬慕するところとなり、世にもまれに見る家庭をつくり、夫房全ぼうぜん氏との間に四人の愛児をもうけ
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)