懵然ぼうぜん)” の例文
見る人懵然ぼうぜんとして醉へるが如く、布衣ほいに立烏帽子せる若殿原わかとのばらは、あはれ何處いづこ女子むすめぞ、花薫はなかほり月霞む宵の手枕たまくらに、君が夢路ゆめぢに入らん人こそ世にも果報なる人なれなど
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
老余らうよ懵然ぼうぜんとして、走馬燈の回転するのを見るやうな、過去の追想をたのしむに過ぎない。
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そして牡蠣かき懵然ぼうぜんたるが如くに、彼等はそこに眠るんだ。