“巴渦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うづ33.3%
うず11.1%
うづまき11.1%
うずまき11.1%
ともゑうづ11.1%
づまき5.6%
ともえうず5.6%
ともえうづ5.6%
はくわ5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
矢張いつの時代にも平凡と単調とに満足されぬ心持と世間を知りたい若い好奇心とは、さうした山の中にも巴渦うづを巻いてゐるのであつた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
否、菓子がうまいばかりではなく、あのあたりには昔の江戸の空気が依然として巴渦うずを巻いているのがなつかしい。
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
空想勝なる自分の胸は今しもこの山中にも猶絶えない人生の巴渦うづまきの烈しきを想像してうたた一種の感にうたれたのであつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
はては本堂の木魚もくぎょや鐘をたたいたその人が、第二軍の司令部に従属して、その混乱した戦争の巴渦うずまきの中にはいっているかと思うと、いっそうその記事がはっきりと眼にうつるような気がする。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
今まで間断ひつきりなしに客が出入ではひりして、低い声音せいおんだの、高い哄笑だの、面白さうな笑声せうせいなどがその一室に巴渦ともゑうづを巻いてゐたが——疲れ果てたやうな、早くさういふ人達から自由になりたいといふやうな
時子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
かれはあらゆる艱難かんなんの中をも、巴渦づまきの中をも、恐怖の中をも通つて来た。そしてその中からすぐれた真珠の玉のやうな宝をつかんだと思つた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
乾坤二刀の巴渦ともえうずを巻き起こしたそもそもの因たる蒐剣狂愛しゅうけんきょうあいの相馬大膳亮だいぜんのすけが、この深夜に、寝床の中からつづみの与吉に対面を許して、左膳の秘使を聞きとり
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
波濤と風雨とが一つに大きな巴渦ともえうづをつくり、三人の船頭がよいしよよいしよと叫んで櫓をあやつつてゐるにも拘らず、舟は渡合どあひの潮に乗せられてくるくる廻つて行くやうになつた。
島からの帰途 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
そして運好く機会をつかんだ場合には、忽ちにして世間の巴渦はくわの唯中に入つて行くことが出来るのである。そして
半日の閑話 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)