巴渦うづ)” の例文
矢張いつの時代にも平凡と単調とに満足されぬ心持と世間を知りたい若い好奇心とは、さうした山の中にも巴渦うづを巻いてゐるのであつた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
あつく灼熱した頭の中に病妻とかの女との二つの姿が混乱して巴渦うづを巻いてゐる時にも、いろ/\の思ひを抱いて——時にはその身の不徳を責め
あさぢ沼 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
すくなくともその人達が一番多く見送人を集めてゐたので、その周囲にはいろいろな色彩が巴渦うづを巻いて、裾模様がチラチラしたり、ダイアの指環がかゞやいたり
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
水量の多い今は巴渦うづを巻いて流れて居るところもあつた。渡船とせん小屋が芦荻ろてきの深い茂みの中から見えて居たり、帆を満面にはらませた船が二艘も三艘も連つてのぼつて来るのが見えたりした。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
Socialism, Individualism, Egoism, Misticism さういふものゝ混乱して巴渦うづを巻いたその最後に、あゝした人類の無数の血を流すといふことは
小説新論 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
そこに楽しい巴渦うづを巻いてゐるやうにB達には見えた。
山間の旅舎 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)