山と山との間である。雨が降つてゐる。かなり強く降つてゐる。汽車の窓から覗くと、谷川が凄じく音を立てゝ白く砕けて流れてゐるのが見える。汽車の速力は次第に緩くなつて、やがて山の腹のやうなところに行つて留つた。小さな停車場——ほつ立小屋のやうな停 …
| 著者 | 田山録弥 |
| 著者 | 田山花袋 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
| 初出 | 「行楽 第一巻第一号(創刊号)」行楽社、1925(大正14)年4月1日 |
| 文字種別 | 新字旧仮名 |
| 読書目安時間 | 約14分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約22分(300文字/分) |