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慝名
読み方 | 割合 |
とくめい | 50.0% |
かくしな | 50.0% |
然し与次郎が何の
為に、
悪戯に等しい
慝名を用ひて、彼の
所謂大論文をひそかに公けにしつつあるか、
其所が三四郎には
分らなかつた。
此論文は零余子なる
慝名の
下にあらはれたが、実は広田の
家に
出入する文科大学生小川三四郎なるものゝ
筆である事迄分つてゐる。と、とう/\三四郎の名前が
出て来た。
燈のかげ
少し
暗きを
捻ぢ
出す
手もとに
見ゆるは
殿の
名、よし
慝名なりとも
此眼に
感じは
變るまじ、
今日迄封じを
解かざりしは
我れながら
心強しと
誇りたる
淺はかさよ