“とくめい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
匿名96.4%
慝名3.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四月十日に江戸永田町の室賀源七郎正俊が邸へ匿名とくめいの書を持つて來たものがある。肥後國熊本の城主加藤肥後守忠廣逆心云々の文面である。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかるに吉田潔なるものが何か十一月号で上田などの肩を持ってぶすぶすいってるようですが、若し宜しいようでしたら、匿名とくめいでも結構ですから
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
然し与次郎が何のために、悪戯いたづらに等しい慝名とくめいを用ひて、彼の所謂いわゆる大論文をひそかに公けにしつつあるか、其所そこが三四郎にはわからなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此論文は零余子なる慝名とくめいもとにあらはれたが、実は広田のいへ出入しつにうする文科大学生小川三四郎なるものゝふでである事迄分つてゐる。と、とう/\三四郎の名前がて来た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
偉大なる暗闇といふ論文は雑誌にましたが、慝名とくめいです、先生の崇拝者が書いたものですから御安心なさい位に云つて置けば、さうかですぐ済んで仕舞ふわけだが、此際うは不可いかん。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)