慝名とくめい)” の例文
然し与次郎が何のために、悪戯いたづらに等しい慝名とくめいを用ひて、彼の所謂いわゆる大論文をひそかに公けにしつつあるか、其所そこが三四郎にはわからなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此論文は零余子なる慝名とくめいもとにあらはれたが、実は広田のいへ出入しつにうする文科大学生小川三四郎なるものゝふでである事迄分つてゐる。と、とう/\三四郎の名前がて来た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
偉大なる暗闇といふ論文は雑誌にましたが、慝名とくめいです、先生の崇拝者が書いたものですから御安心なさい位に云つて置けば、さうかですぐ済んで仕舞ふわけだが、此際うは不可いかん。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)