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出入
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ではいり
ふりがな文庫
“
出入
(
ではいり
)” の例文
多くの取引先や
出入
(
ではいり
)
の人達には、もうそれが単なる噂ではなくて、事実となって刻まれている。お島は作の顔を見るのも厭だと思った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
尤
(
もっと
)
も、親しげに言葉の
取換
(
とりかわ
)
される様子を見たというまでで、以前家に置いてあった書生が彼女の部屋へ
出入
(
ではいり
)
したからと言って
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母様
(
おっかさん
)
は
病気
(
きいきい
)
が悪いから、
大人
(
おとな
)
しくしろよ、くらいにしてあったんですが、何となく、人の
出入
(
ではいり
)
、
家
(
うち
)
の者の
起居挙動
(
たちいふるまい
)
、大病というのは知れる。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出入
(
ではいり
)
する客の野趣を帯びた様子などに、どうやら『膝栗毛』の世界に
這入
(
はい
)
ったような、いかにも現代らしくない心持になる。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
守衛は何人か
交替
(
こうたい
)
に
門側
(
もんがわ
)
の
詰
(
つ
)
め所に
控
(
ひか
)
えている。そうして武官と文官とを問わず、教官の
出入
(
ではいり
)
を見る度に、
挙手
(
きょしゅ
)
の礼をすることになっている。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
「そうか。
併
(
しか
)
し狭い土地だから、お前が角川の息子だと云うことは、
先方
(
むこう
)
でも知ってるだろう。あんな
許
(
ところ
)
へ
余
(
あんま
)
り
出入
(
ではいり
)
するなよ。世間の口が
煩
(
うる
)
さい。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小説家の正宗白鳥氏は
他
(
ひと
)
の
家
(
うち
)
へ
出入
(
ではいり
)
をするのに、がらりと
入口
(
いりくち
)
の
扉
(
と
)
を
開
(
あ
)
けはするが、その手で滅多に閉めた事は無い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それも月の十日と二十日は琴平の縁日で、中門を
出入
(
ではいり
)
する人の
多少
(
すこし
)
は通るが、実、
平常
(
ふだん
)
、此町に用事のある者でなければ余り人の
往来
(
ゆきき
)
しない所である。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
果して先生は
浮浪無頼
(
ふろうぶらい
)
では納得せず、家作や地所の有無を確めてから、お宅へ物を頼みに
出入
(
ではいり
)
する人はありませんか等と言って、高利貸の嫌疑まで掛けた後
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「質屋の出し入れがないだけでも、どんなに氣が樂だか解らねえ。その上、
出入
(
ではいり
)
はお駕籠、百姓町人に土下座をさせて、氣に入らねえ奴があると、いきなり無禮討だ」
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに小間使なればいつだってだれにも疑われないで、お嬢さんのお部屋へ
出入
(
ではいり
)
出来ますし、お嬢さんのいらっしゃらないことを第一に発見したのもあの女だったのです。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
我々は
紛
(
まが
)
いもないチベット人ですら、
出入
(
ではいり
)
をするに実に
困難
(
こんなん
)
を極めて間道でもあれば脱けて行きたいと思う位苦しんで居りますが、それをまああなたはどこからお越しになったか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
まづ
責任
(
せきにん
)
を
閑過
(
かんくわ
)
する一
例
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しませう。それは
重
(
おも
)
に
外出
(
ぐわいしゆつ
)
などに
就
(
つい
)
て
起
(
おこ
)
る
事柄
(
ことがら
)
で、
塾生
(
じゆくせい
)
の
身
(
み
)
は
無論
(
むろん
)
私
(
わたくし
)
が
其
(
そ
)
の
親
(
おや
)
から
責任
(
せきにん
)
を
持
(
もつ
)
て
預
(
あづか
)
つてゐるのですから
出入
(
ではいり
)
に
就
(
つき
)
ては
行先
(
ゆくさき
)
を
明瞭
(
めいれう
)
にして
置
(
お
)
きます。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
本間
(
ほんま
)
一門の名家が
邸
(
やしき
)
を構えているのもこの町であります。有名な
庄内米
(
しょうないまい
)
のことは他の本が語るでありましょう。ここは船の
出入
(
ではいり
)
が多かったため、昔は
船箪笥
(
ふなだんす
)
を作った所として名がありました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
焼鳥屋は頑固に首を振って、もう二時間も三時間も、この露次から
出入
(
ではいり
)
した者はない、とハッキリ申立てた。そこで警官は引返すと、今度はいよいよガタピシと煙草屋の厳重な家宅捜査をしはじめた。
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
一方だけの
出入
(
ではいり
)
になつてゐるのが非常に都合が好かつた。
浴室
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
時間割表などの刷込まれた、二つ折小形のその広告札を、
羅紗
(
らしゃ
)
の袋に入れて、お島は朝早く新入生などの多く
出入
(
ではいり
)
する学校の門の入口に立った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平素めったに思出したことも無いようなお霜婆さん——郷里の方の家に近く住んで、よくお母さんの
許
(
ところ
)
へ
出入
(
ではいり
)
した人——のことなぞまで思出した。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
結構な
御薬
(
おくすり
)
の採れます場所は、また御守護の
神々
(
かみがみ
)
仏様
(
ほとけさま
)
も、
出入
(
ではいり
)
をお
止
(
と
)
め遊ばすのでございましょうと存じます。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤
(
もつと
)
もこれには主義のある事で、自分が
出入
(
ではいり
)
するのに
扉
(
と
)
は是非開けなければならぬが、それを閉めて置かなければならぬ何等の理由も発見出来ないからださうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「市郎、お前は
真実
(
ほんとう
)
に柳屋へ
出入
(
ではいり
)
するのか。」と、今度は安行が問うた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
姉や妹に限らず、養家へ
出入
(
ではいり
)
する人にも、お島はぱっぱと金や品物をくれてやるのが、気持が好かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
八年
以来
(
このかた
)
煩
(
わずら
)
い煩いしていた細君が快くなったというだけでも大したことであるのに、家はますます
隆盛
(
さかん
)
な方だし、
出入
(
ではいり
)
するものも多くなって来たし、好い事だらけだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
紅
(
くれない
)
の
曙
(
あけぼの
)
、緑の暮、花の
楼
(
たかどの
)
、柳の
小家
(
こいえ
)
に
出入
(
ではいり
)
して、遊里に
馴
(
な
)
れていたのであるが、
可懐
(
なつか
)
しく尋ね寄り、用あって
音信
(
おとず
)
れた、
往
(
ゆ
)
くさきざきは、残らず
抱
(
かかえ
)
であり、
分
(
わけ
)
であり
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、それは段取だけの事サ、時間が時間だし、雨は降る……ここも
出入
(
ではいり
)
がさぞ籠むだろう、と思ったより
夥
(
おびただ
)
しい混雑で、ただ停車場などと、宿場がって
済
(
すま
)
してはおられぬ。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細君は教授の夫人への
手土産
(
てみやげ
)
にと庭の
薔薇
(
ばら
)
の花を
提
(
さ
)
げ、自分がまだ娘であった頃から教授の家へはよく
出入
(
ではいり
)
したという話を岸本にして聞かせた。漸くのことで三人は船に間に合った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
之
(
これ
)
は此の春頃から、其まで人の
出入
(
ではいり
)
さへ余りなかつた
上
(
かみ
)
の薬屋が
方
(
かた
)
へ、一
人
(
にん
)
の美少年が来て
一所
(
いっしょ
)
に居る、
女主人
(
おんなあるじ
)
の
甥
(
おい
)
ださうで、
信濃
(
しなの
)
のもの、
継母
(
ままはは
)
に
苛
(
いじ
)
められて家出をして
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
周囲に人の
出入
(
ではいり
)
のある電話口で、岸本はそれ以上の心を伝えることが出来なかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すなわち華族の殿様であって見れば、世に処してかかる待合などには
出入
(
ではいり
)
すべき身分ではない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
楽しい幸福は到るところに彼を待っているような気がした。彼は若い男や女の交際する場所、集会、教会の長老の家庭なぞに
出入
(
ではいり
)
し、自分の心を
仕合
(
しあわせ
)
にするような
可憐
(
かれん
)
な相手を探し求めた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一時
(
あるとき
)
などは
椽側
(
えんがわ
)
に何だか解らぬが動物の足跡が付いているが、それなんぞしらべて
丁度
(
ちょうど
)
障子の
一小間
(
ひとこま
)
の間を
出入
(
ではいり
)
するほどな動物だろうという事だけは推測出来たが、
誰
(
たれ
)
しも
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振袖
立矢
(
たてや
)
の字、
児髷
(
ちごまげ
)
、高島田、夜会
結
(
むすび
)
などいう
此家
(
ここ
)
に
出入
(
ではいり
)
の弟子達とは
太
(
いた
)
く趣の異なった、
銀杏返
(
いちょうがえし
)
の飾らないのが、中形の浴衣に
繻子
(
しゅす
)
の帯、二枚裏の
雪駄穿
(
せったばき
)
、紫の風呂敷包
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴下
(
あなた
)
のような
方
(
かた
)
の
出入
(
ではいり
)
は、
今朝
(
けさ
)
ッからお一人しかありませんもの。
丁
(
ちゃん
)
と存じておりますよ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
くれぐれも
脱心
(
ぬかる
)
なよ。「
合点
(
がってん
)
だ。と鉄の棒の長さ一尺ばかりにて握太きを小脇に隠し、勝手口より
立出
(
たちいで
)
しが、この
家
(
や
)
は用心厳重にて、つい近所への
出入
(
ではいり
)
にも、
鎖
(
じょう
)
を下す
掟
(
おきて
)
とかや。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それからね、素肌を気にして
腋
(
わき
)
の下をすぼめるような筋のゆるんでる
娘
(
ねえ
)
さんじゃアありませんや。けれども私が
出入
(
ではいり
)
をするようになったのは、こちらから泣附いたんです、へい。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとさき
路
(
みち
)
は歩いたり、中の馬車も人の
出入
(
ではいり
)
、半月ばかりの
旱
(
ひでり
)
続きで
熱
(
や
)
けた砂を
装
(
も
)
ったような東京の
市街
(
まち
)
の一面に、
一条
(
ひとすじ
)
足跡を印して
過
(
よぎ
)
ったから、砂は浴びる、
埃
(
ほこり
)
はかかる、汗にはなる
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも前晩、夜更けてからちと廊下に入組んだ
跫音
(
あしおと
)
がしましたっけ。こうやって時候が
可
(
い
)
いから、
寂寞
(
ひっそり
)
して入院患者は少いけれども、人の
出入
(
ではいり
)
は多いんですから、知らなかったんです。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
紫
(
むらさき
)
の
藤
(
ふじ
)
より、
菖蒲
(
あやめ
)
杜若
(
かきつばた
)
より、
鎌倉
(
かまくら
)
の
町
(
まち
)
は、
水
(
みづ
)
は、
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
の
出入
(
ではいり
)
、
起居
(
たちゐ
)
にも、ゆかりの
色
(
いろ
)
が
添
(
そ
)
ふであらう、と
床
(
ゆか
)
しがるのみで、まるで
以
(
もつ
)
て、
然
(
さ
)
したる
容体
(
ようだい
)
とは
思
(
おも
)
ひもつかないで
居
(
ゐ
)
たのに。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あれから、直ぐにその茶屋へ引上げて、吸物一つ、膳の上へ、弁当で一銚子並べたが、その座敷も、総見の
控処
(
ひかえどころ
)
で、持もの、預けもの沢山に、かたがた男女の
出入
(
ではいり
)
が続いたゆえ、ざっと
夕餉
(
ゆうげ
)
を。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
知れては身分に係わるといった側が、ちょいちょい懐手で
出入
(
ではいり
)
する。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俗にいふ越後は
八百八後家
(
はっぴゃくやごけ
)
、お辻が
許
(
とこ
)
も女ぐらし、又
海手
(
うみて
)
の二階屋も
男気
(
おとこげ
)
なし、
棗
(
なつめ
)
の
樹
(
き
)
のある内も、男が
出入
(
ではいり
)
をするばかりで、
年増
(
としま
)
は
蚊帳
(
かや
)
が
好
(
すき
)
だといふ、紙谷町一町の
間
(
あいだ
)
に、四軒、いづれも夫なしで
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふふむ、余り人が
出入
(
ではいり
)
をしないのか。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“出入”の意味
《名詞》
出 入(しゅつにゅう)
出ることと入ること。
出すことと入れること。
(出典:Wiktionary)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
“出入”で始まる語句
出入口
出入場
出入先
出入司
出入帳
出入事
出入境
出入留
出入邸
出入商人