出入だしい)” の例文
いまはたいたまゝで、元二げんじが、財布さいふ出入だしいれをするうち縁側えんがははしいた煙管きせるつて、兩提りやうさげつゝ突込つゝこまうとするとき縁臺えんだいしたから、のそ/\と前脚まへあしくろした一ぴき黒猫くろねこがある。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旧同藩の士族二人を監督において仕事をさせて居る中に、職人が朝夕紙の出入だしいれをするから、蔵に這入はいってその紙を見て大に驚き、大変なものだ、途方もないものだ、この家に製本を始めたが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今日こんにちのお客来で御蔵おくらから道具を出入だしいれするお掃除番が、粗忽そこつで此の締りを開けて置いたかしらん、何にしろしからん事だと、段々側へ来て見ますと、塀外へいそとに今の男が立って居りますからハヽア
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みちすがらも、度々たびたび頂戴ちょうだいゆえに、猿の面も被ったまま、脱いでは飲み被っては飲み、しち出入だしいれのせわしい酒じゃな。あはははは。おおおお、たつくち清水しみずより、馬の背の酒は格別じゃ、甘露甘露。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)