出入ではひ)” の例文
先刻さつきから、出入ではひりのおあき素振そぶりに、けた、爐邊ろべりものをして母親はゝおやが、戸外おもて手間てまれるのに、フト心着こゝろづいて
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うらには敷居しきゐくさつた物置ものおきからまゝがらんとつてゐるうしろに、となり竹藪たけやぶ便所べんじよ出入ではひりにのぞまれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この店をおやりになるといふについて、青木さんたちが力を入れて下すつたり、それから同じやうな画家たちが多く出入ではひりして下さるのも、亡くなつた画家の未亡人に対する同情であつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
出入ではひりに紅いな紅いなとながめてゐるとなりの寺の百日紅を
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ざつわし住居すまひおもへばいの。ぢやが、もんしまつてつては、一向いつかう出入ではひりもるまいが。第一だいいちわしゆるさいではおぬし此處こゝへはとほれぬとつた理合りあひぢや。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
突立つツたつてては出入ではひりの邪魔じやまにもなりさうだし、とばくち吹降ふきぶりのあめ吹込ふきこむから、おくはひつて、一度いちどのぞいた待合まちあひやすんだが、ひとつのに、停車場ステエシヨンときはりすゝむほど
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きながら、出入ではひりも出來できぬとあつては、畫師ゑかき不自由ふじいうなものぢやが、なう。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
萌黄もえぎ蚊帳かやべにあさ、……ひどところですが、およねさんの出入ではひりには、はら/\とほたるつて、うつし、指環ゆびわうつし、むね乳房ちぶさすかして、浴衣ゆかたそめ秋草あきぐさは、女郎花をみなへしに、はぎむらさき
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
以前いぜん持主もちぬし二度目にどめのはお取次とりつぎ一人ひとり仕込しこんだおぼえはないから、ひとたちは無論むろんことみなと出入ではひる、國々くに/″\島々しま/″\のものにたづねても、まるつきしつうじない、希有けう文句もんくうたふんですがね
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんなことからおさんも、去年きよねん……當座たうざ、かりに玉川たまがはとしてく……其家そのいへ出入ではひりにけたやうだつたが、主人あるじか、旦那だんならず、かよつてるのが、謹深つゝしみぶかつゝましやかな人物じんぶつらしくて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
出入ではひりの旅客りよきやくわづかに二三。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)