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咄
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はな
ふりがな文庫
“
咄
(
はな
)” の例文
私が猿楽町に下宿していた頃は、直ぐ近所だったので互に
頻繁
(
ひんぱん
)
に往来し、二葉亭はいつでも夕方から来ては十二時近くまで
咄
(
はな
)
した。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
イヤ……お勢じゃない叔母に咄して……さぞ……厭な顔……厭な顔を咄して……口……口汚なく
咄
(
はな
)
……して……アア頭が乱れた……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
平家琵琶
(
へいけびわ
)
から分れて
咄
(
はな
)
し
家
(
か
)
が立ち、『
太平記
(
たいへいき
)
』や『
明徳記
(
めいとくき
)
』や『
大内義弘退治記
(
おおうちよしひろたいじき
)
』(応永記)のような講釈軍記の台本が書かれている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
隱
(
かく
)
さんと云るを
聞
(
きゝ
)
共に涙に
暮
(
くれ
)
居
(
ゐ
)
たりしが
軈
(
やが
)
てお文は
父母
(
ふたおや
)
の前に
來
(
き
)
たり兩手を
突
(
つき
)
只
(
たゞ
)
今お
兩方樣
(
ふたかたさま
)
のお
咄
(
はな
)
しを承まはり候に父樣は
何方
(
いづかた
)
へかお身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
白山
(
はくさん
)
に芸者家が出来たって云う
咄
(
はな
)
しだがあの辺はどうだ。
矢張
(
やっぱり
)
芸者家のある土地の方が
仕出屋
(
しだしや
)
や何かの便利がきくからね。」
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
なんでもこの
咄
(
はな
)
しはさほど古いことではないのでしょう、
私
(
わたくし
)
はその村で、そのお
家
(
うち
)
と近しくしている方からききました。
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
出端
(
でばな
)
に油かけられた資人は、表情に隠さず心の中を表した此頃の人の、自由な
咄
(
はな
)
し方で、まともに鼻を
蠢
(
うごめか
)
して語った。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
世界の
咄
(
はな
)
しも相成可
レ
申か、此儀も白峯より与三郎より少〻うけたまハり申候。此頃おもしろき御咄しもおかしき御咄しも実に/\山〻ニて候。かしこ。
手紙:117 慶応三年十一月七日 陸奥宗光あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
こんなに考えると子年だから鼠の話を書くなど誠に気の利かぬ
咄
(
はな
)
しだが、毎歳やって来たこと故書き続ける。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
顔ガ売レタロウト皆ンナニ
咄
(
はな
)
シタトテ、松平ノ家来ノ松浦勘次ガオレニ咄シタニ、最早、隠居ハ吉原ヘ行ッテモ大丈夫ダトイッタ故、男谷ニテモ安心シタト。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう思った
途端
(
とたん
)
に、耳の傍でなんだか
微
(
かす
)
かな声がした。ナニナニ。蠅が何かを
咄
(
はな
)
して聴かせるって。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
周囲は
駕籠
(
かご
)
が通り人々は
煙草
(
たばこ
)
をふかし、茶をのみ乍ら
四方山
(
よもやま
)
の
咄
(
はな
)
しに
耽
(
ふけ
)
る普通の現実の世界である。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
……その折の不覚を、当人も心から
慚愧
(
ざんき
)
しており、頭を
剃
(
そ
)
って、お
咄
(
はな
)
し
衆
(
しゅう
)
としてでも、何とかもういちど、前田家へ帰参はかなうまいかと、一生の願いといたしております。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例
(
れい
)
の通り
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
にて先生及び夫人と
鼎坐
(
ていざ
)
し、
寒暄
(
かんけん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
了
(
おわ
)
りて先生先ず口を開き、この
間
(
あいだ
)
、十六歳の時
咸臨丸
(
かんりんまる
)
にて
御供
(
おとも
)
したる人
来
(
きた
)
りて夕方まで
咄
(
はな
)
しましたと、夫人に
向
(
むか
)
われ
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
全
(
まる
)
で
落語家
(
はなしか
)
の
咄
(
はな
)
しっても無いです。が、綸はまだ着いてましたので、旦那は急いで綸を執る、私は苫を
解
(
ほぐ
)
すで、又二度めの戦争が始まりましたが、どうかこうか抄い上げました。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
と
咄
(
はな
)
しをしているうち。一曲の踏舞は終り。斎藤は宮崎とともにいできたり。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
山上樹木
欝葱
(
うっそう
)
たる上に銀河の白くかかりたる処、途上に人と
咄
(
はな
)
しながらふと仰向けば銀河の我首筋に落ちかかる処、天の川を大きく見ず、かへつて二、三尺ほどの
溝川
(
みぞがわ
)
の如く見立てたる処
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鶴ヶ岳という山が第一だと申されたと
咄
(
はな
)
してくれた、これが自分が鶴ヶ岳と呼ぶ山が、自分の住居している国に存在しているという事を知った初めであって、
何
(
な
)
んとなく気持よく自分の耳に響いた
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
青すだれ黒歯つけ/\の
咄
(
はな
)
しかな 山鳳
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
夏の暮煙草の虫の
咄
(
はな
)
し聞く 重厚
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
子供は駈けて来て親父に
咄
(
はな
)
した
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
出して富右衞門に見せければ元來
篤實
(
とくじつ
)
の富右衞門なれば以ての外に驚き是は
等閑
(
なほざり
)
に致し難しと言つゝ此事を主人平兵衞に
咄
(
はな
)
しけるに平兵衞は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
実は
昨日
(
きのう
)
朝飯
(
あさはん
)
の時、文三が叔母に
対
(
むかっ
)
て、
一昨日
(
おととい
)
教師を番町に訪うて身の振方を依頼して来た趣を
縷々
(
るる
)
咄
(
はな
)
し出したが、叔母は
木然
(
ぼくぜん
)
として情
寡
(
すくな
)
き者の如く
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
当時儒学の宗たる
柴野栗山
(
しばのりつざん
)
に到底及ばざるを知って儒者を断念して戯作の群に投じたのであると語ったのを小耳に挟んで青年の私に
咄
(
はな
)
した老婦人があった。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
祖母をさすりに毎晩交替でくる、栄良だの栄信だのという小あんまたちまでが、自分たちも見たように
咄
(
はな
)
すのだった。私たちも
怖々
(
こわごわ
)
夜更けに出て見たことがある。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
オレガ駕籠カラ顔ヲ出シタラ、帯刀ガキモヲツブシテ、ドウシテ来タト云イオルカラ、ウチヘ行ッテ
委
(
くわ
)
シク
咄
(
はな
)
ソウトテ、帯刀ノ座敷ヘ通リテ、
斎宮
(
いつき
)
ヘモ逢ッタガ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お身も、少し
咄
(
はな
)
したら、ええではないか。
官位
(
こうぶり
)
はこうぶり。昔ながらの氏は氏——。なあ、そう思わぬか。
紫徴中台
(
しびちゅうだい
)
の、兵部省のと、位づけるのは、うき世の事だわ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その
譚
(
はなし
)
にも竜神の伝説同様、旅僧が小判多く持ったとばかり言うて、金作りの鶏と言わず、熊野の
咄
(
はな
)
しは東北国のより新しく作られ、その頃既に金製の鶏を宝とする風なかったものか。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
○おかしき
咄
(
はな
)
しあり、お竹に
御申
(
おまうし
)
。直次事ハ此頃
黒沢
(
クロサワ
)
直次郎と申おり候。
手紙:075 慶応三年五月二十八日 お龍あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
かれは、秀吉のお
咄
(
はな
)
し
衆
(
しゅう
)
として、大坂表へ移住した。思うに、もしこれが、信長の場合であったならば、こんな
寛典
(
かんてん
)
にめぐまれるはずもなし、かれの首は、二つあっても足りなかったであろう。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ことわりてゐたりしかど金子翁かつて八百屋が先代の主人とは懇意なりける由にて事の次第を
咄
(
はな
)
して頼みければ今の若き主人心よく承知して池に
臨
(
のぞ
)
む
下座敷
(
したざしき
)
を清め床の間の軸も
光琳
(
こうりん
)
が松竹梅の
三幅対
(
さんぷくつい
)
を
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何故
咄
(
はな
)
さぬ
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
出し且又
咄
(
はな
)
しの内に立せ
間敷
(
まじく
)
其爲
(
そのため
)
に
朋輩
(
ほうばい
)
を頼み置きたりお
咄
(
はな
)
しあらば心靜かに咄し給へと
最
(
いと
)
發明
(
はつめい
)
なる働に傳吉は其
頓智
(
とんち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「お勢を疑うなんぞと云ッて
我
(
おれ
)
も
余程
(
よっぽど
)
どうかしている、アハハハハ。帰ッて来たら
全然
(
すっかり
)
咄
(
はな
)
して笑ッてしまおう、お勢を疑うなんぞと云ッて、アハハハハ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
近松でも西鶴でも内的概念よりはヨリ多くデリケートな文章味を鑑賞して、この言葉の
綾
(
あや
)
が面白いとかこの引掛けが巧みだとかいうような事を能く
咄
(
はな
)
した。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
まずまず帰って目出たい、それには及ばぬ、年とって改心すればお役にも立つべし、よくよく手当して
遣
(
つか
)
わすべしと言われた、それから一同安心したと皆が
咄
(
はな
)
した
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雨の日に、年をとつた勞働者が二三人、寒さうに顫へながら、小さな聲でこんな
咄
(
はな
)
しをしてゐた。
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そうして、夜に入ってくたくたになって、家路を戻る。此
為来
(
しきた
)
りを何時となく、女たちの
咄
(
はな
)
すのを聞いて、姫が、女の行として、この野遊びをする気になられたのだ、と思ったのである。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「あるよ、山下町だったかでも査公に一ぺん
咎
(
とが
)
められたし、たしかこの家の門前でも咎められたよ。
咄
(
はな
)
さなかったかねえ、自分の家へ、
盗人
(
ぬすっと
)
にはいる奴もないじゃないか。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
支配ガ大兄ノ支配シタ越後
水原
(
すいばら
)
ニナッタカラ、国ノ風俗人気ノコトヲ聞クカラ、オレガモト行ッタ時ノ様子ヲハナシテ勤向キノコトモ、アラアラシカッタコトハ
咄
(
はな
)
シテヤッタ。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何を
咄
(
はな
)
したか忘れてしまったが、今でも頭脳に固く印しているのは、その時卓子の上に
読半
(
よみさ
)
しの書籍が開いたまま置かれてあったのを何であると
訊
(
き
)
くと、二葉亭は極めて
面羞
(
おもはゆ
)
げな顔をして
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
或時飯田町の三畳の書斎を訪ずれると、
昨宵
(
ゆうべ
)
は
嵯峨
(
さが
)
の
屋
(
や
)
が来て『罪と罰』という
露西亜
(
ロシア
)
の小説の話をしたが、嵯峨の屋がモグモグしながら妙な手附きをして
咄
(
はな
)
すのが実に面白かったといった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そのお
家
(
うち
)
の
子供衆方
(
こどもしゅがた
)
の
咄
(
はな
)
しでは、おばあさんの来るという日の夜に限って、山から狐が沢山に下りて、そのお宅の縁側は、土でざらざらになるのと、きっとその日は雨風で
暴
(
あれ
)
るということです。
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何か家のことでも聞いたりしたのかも知れないが覚えていない。ある日秋山先生が訪ねてきて、父と長く
咄
(
はな
)
していたが、それは私を送ってくれる先生が書生にしてくれといったのだとあとで聞いた。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
薬売りが
咄
(
はな
)
しますと、主人も驚いたには違いありませんが
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さうならお
咄
(
はな
)
しだ。と言捨てて共に去つた。
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
咄
漢検1級
部首:⼝
8画
“咄”を含む語句
咄嗟
咄々
世間咄
御咄
上咄
夜咄
噂咄
咄合
田舎咄
小咄
咄嵯
人情咄
咄喊
大長咄
昔咄
咄堂
諸国咄
御咄相手
立咄
茶呑咄
...