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華
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はな
ふりがな文庫
“
華
(
はな
)” の例文
お
母
(
かあ
)
さんが、お
仕事
(
しごと
)
をなさるときに
使
(
つか
)
われた、いくつかの
華
(
はな
)
やかな
思
(
おも
)
い
出
(
で
)
を
目
(
め
)
に
浮
(
う
)
かべて、せめてものなぐさめとしていたのでした。
古いはさみ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その広い座敷がただ一枚の
絨毯
(
じゅうたん
)
で敷きつめられて、
四角
(
よすみ
)
だけがわずかばかり
華
(
はな
)
やかな織物の色と
映
(
て
)
り
合
(
あ
)
うために、薄暗く光っている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれどもその方面では、成功することも
華
(
はな
)
やかに失敗することもできませんでした。どうかこうか必要な試験にだけは及第しました。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
眉を落して
鐵漿
(
かね
)
を含んで、何んの變哲もない町家の内儀ですが、この燃えるやうな性格と、
華
(
はな
)
やかに去來する感情の動きを見ると
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一番
華
(
はな
)
やかで人の目につくのは、十九になる八重という娘で、これは父が
定府
(
じょうふ
)
を勤めていて、江戸の女を妻に持って生ませたのである。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
馬鹿げた見そこなひもあつたものだ。が、よくあることらしい。軍人
華
(
はな
)
やかなりし頃なら光栄ともいへるが、迷惑千万なはなしである。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
あたかもその生活の中に咲いた罪の
華
(
はな
)
のように節子を考えるように成ったのも、それは彼が遠い旅に出てからずっと後のことであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
華
(
はな
)
やかな都に行くのは、はれがましく、私の友人に会うのは自分の卑しさが気にかかり、また東京は美しい女の多いところゆえ
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
秀吉にとって、両の腕ともたのむ二人が帰って長らく
堅氷
(
けんぴょう
)
に閉じられていたような
帷幕
(
いばく
)
も、ここ
遽
(
にわ
)
かに、何となく
華
(
はな
)
やいで来た。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ところが支倉君、それが僕の夢想の
華
(
はな
)
さ——あの黙示図に続いていて、未だ誰一人として見たことのない半葉がある——それなんだよ」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
奥から子供を
愛
(
あや
)
している女中の声が洩れて来た。夫人が誰かと話している声も聞えた。客は女らしい、
華
(
はな
)
やかな笑い声もするようである。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
噂
(
うわさ
)
を聞き伝えた奴国の宮の娘を持った母親たちは、
己
(
おのれ
)
の娘に
華
(
はな
)
やかな
装
(
よそお
)
いをこらさせ、髪を飾らせて戸の外に立たせ始めた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
輝かしいとか
華
(
はな
)
やかとか云ふやうな夏の夕方ではなかつたけれど、美しく穩やかであつた。
乾草
(
ほしくさ
)
を作る人々は道に沿つて仕事をしてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「俺は六十になったら代言人(弁護士となっていたかもしれない)をよす。若いものも、
華
(
はな
)
やかに隠退させるといっている。」
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先生のご思想、ご人格の
華
(
はな
)
というべき詩書礼楽のお話や、日常生活の実践に関するお話は、いつでもうかがえるが、その根本を
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
すると、色とりどりの
華
(
はな
)
やかさが
眼
(
め
)
にうつりました。
床
(
ゆか
)
から
天井
(
てんじょう
)
まで、まばゆいほどの
色彩
(
しきさい
)
と金めっきをほどこした絵がかかっていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
遠い下町の、
華
(
はな
)
やかな
淫
(
みだ
)
らな街に売られて行くのを出世のように思って面白そうに嬉しそうにお鶴の話すのを私はどんなに悲しく聞いたろう。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
そして個性の
穎割
(
えいかつ
)
が認められるようになり、外来文化の刺戟ともろもろの発見とを緒として次第に学問芸術の
華
(
はな
)
が咲き匂う。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
其
(
それ
)
等のユウゴオの「夢の
華
(
はな
)
」が
毫
(
がう
)
も不自然で
無
(
な
)
い
許
(
ばかり
)
か、空想の天地に自適して
如何
(
いか
)
にも楽し
相
(
さう
)
である偉人の心境が流露して居る様に思はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それでいて、
華
(
はな
)
やかな笑い声一つなく両側の店をのぞいて行くと、暗い
額部
(
ひたい
)
をした
主人
(
あるじ
)
や番頭が、ひそひそ話し合っている。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「人として」のボオドレエルはあらゆる精神病院に
充
(
み
)
ち満ちている。ただ「悪の
華
(
はな
)
」や「小さい散文詩」は一度も彼らの手に成ったことはない。
十本の針
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さうしてかの柳河のただ
外面
(
うはべ
)
に取すまして廢れた
面紗
(
おもぎぬ
)
のかげに
淫
(
みだ
)
らな秘密を
匿
(
かく
)
してゐるのに比ぶれば、凡てが
露
(
あらは
)
で、元氣で、また
華
(
はな
)
やかである。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
胃の
腑
(
ふ
)
へ届く食物は、そのまま直ちに消化されて、血管を少女のような元気さと
華
(
はな
)
やかさとで駆け回るように感じられた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
この悲哀は
華
(
はな
)
やかな青春の悲哀でもなく、単に男女の恋の上の悲哀でもなく、人生の
最奥
(
さいおう
)
に
秘
(
ひそ
)
んでいるある大きな悲哀だ。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
茶色が「いき」であるのは、一方に色調の
華
(
はな
)
やかな性質と、他方に飽和度の減少とが、
諦
(
あきら
)
めを知る媚態、
垢抜
(
あかぬけ
)
した色気を表現しているからである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
しかし、わたしは年とっておりますので、そういうこの世の
華
(
はな
)
やかなものが、やがてどうなるか、よく
存
(
ぞん
)
じております。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
これと處を同じうせるものとともに昇りつゝありき、されば時の宜きと
季
(
き
)
の麗しきとは
毛色
(
けいろ
)
華
(
はな
)
やかなるこの獸にむかひ
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「ええ、歩いてゆきましょう」
華
(
はな
)
やかに母は言った。「でも私達がどんなにちいさく見えるかというのは誰が見るの」
闇の書
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
櫻
(
さくら
)
、
山吹
(
やまぶき
)
、
寺内
(
じない
)
の
蓮
(
はちす
)
の
華
(
はな
)
の
頃
(
ころ
)
も
知
(
し
)
らない。そこで
蛙
(
かはづ
)
を
聞
(
き
)
き、
時鳥
(
ほとゝぎす
)
を
待
(
ま
)
つ
度胸
(
どきよう
)
もない。
暗夜
(
やみよ
)
は
可恐
(
おそろし
)
く、
月夜
(
つきよ
)
は
物
(
もの
)
すごい。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
西洋の名画の聖母像と似ているが、どこかちがう。もっと
華
(
はな
)
やかでなまめかしい。情慾に光り輝いている。浩一はあの美しい女に
呑
(
の
)
まれたいと思った。
女妖:01 前篇
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「はるばると運ぶ歩みは頼もしや
法
(
のり
)
の
華
(
はな
)
さく寺をたずねて」と、ゆうべ宿の主を師匠に、二人が一生懸命に
稽古
(
けいこ
)
していた御詠歌の文句が思い出された。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
毒の
華
(
はな
)
のような
妖女
(
ようじょ
)
の手が動いて、黄昏の空気がキラリと
閃
(
ひか
)
ったのは、彼女の
翳
(
かざ
)
した薄刃のナイフだったであろう。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
出帆
(
しゅっぱん
)
前の船に、またハワイ生れのお
嬢
(
じょう
)
さん達が集まって、
華
(
はな
)
やかな、幾分エロチックな空気をふりまいていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こうして鎗中村の猩々緋と唐冠の兜は、戦場の
華
(
はな
)
であり敵に対する脅威であり味方にとっては信頼の
的
(
まと
)
であった。
形
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この地の若い貴公子や十法官からも
華
(
はな
)
ばなしい結婚の申し込みがありましたが、それはみな失敗に終わりました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
しばられた袂の中からようようの思いで
襷
(
たすき
)
をさぐりだすと、それをつむりに
潜
(
くぐ
)
らせようとしたが、
華
(
はな
)
やかなその色が、夕暗の中で痛いように眼に映った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
誰
(
だれ
)
も彼もが
華
(
はな
)
やかに
着飾
(
きかざ
)
り、それぞれ美しい花のついた葵の
鬘
(
かずら
)
をかけて、
衣裳
(
いしょう
)
には葵の
蘰
(
かずら
)
をつけている。……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
歳三十に近く
蒼白
(
そうはく
)
なる
美貌
(
びぼう
)
。
華
(
はな
)
やかならざれどもすずしきみどり色の、たとえば陰地に
生
(
お
)
いたる草の葉のごとくなるに装いたり。妙念に
縋
(
すが
)
り鐘楼に眼を定め息を
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
しばし
呆然
(
ぼうぜん
)
と立ちすくんでいると、頼政の軍から、一きわ
華
(
はな
)
やかに
鎧
(
よろい
)
をつけた男が、進み出てきて、神輿の前に
跪
(
ひざまず
)
くと主人からの口上を、力強い声で述べたてた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
『
役者
(
やくしゃ
)
国
(
くに
)
の
華
(
はな
)
』(出板年次不詳)『
絵本舞台扇
(
えほんぶたいおうぎ
)
』(明和七年板色摺三冊)その続編(安永七年板色摺二冊)
並
(
ならび
)
に『
役者
(
やくしゃ
)
夏
(
なつ
)
の
富士
(
ふじ
)
』(安永九年板墨摺一冊)等なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
美術というものは元来人間の想像の
華
(
はな
)
である。その根本は装飾の意志本能にある。美術とは世界の装飾にあるともいえる。美は外界にはない、人間の心の
衷
(
うち
)
にある。
想像と装飾の美:それを持つ特殊の個性によって生かさるべし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
しかし、復活した東京の新文化の
華
(
はな
)
然として、大道を闊歩している所謂職業婦人というのはそんなのではない。もっと新しい、現代的な意味でいう職業婦人である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
華
(
はな
)
、琴、鼓などという芸事をずいぶん熱心にならった、また
生得
(
しょうとく
)
さかしい彼女はその一つ一つにすぐれた才分をあらわして、その道の師たちをおどろかしたものであるが
日本婦道記:梅咲きぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
縁から見るこの
谷窪
(
たにくぼ
)
の新緑は今が
盛
(
さか
)
りだった。木の葉ともいえない
華
(
はな
)
やかさで、
梢
(
こずえ
)
は新緑を基調とした紅茶系統からやや
紫
(
むらさき
)
がかった若葉の五色の染め分けを
振
(
ふ
)
り
捌
(
さば
)
いている。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
特
(
こと
)
に
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
の
朗々
(
らう/\
)
たる
詩吟
(
しぎん
)
につれて、
何時
(
いつ
)
覺
(
おぼ
)
えたか、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
の
勇
(
いさ
)
ましき
劍舞
(
けんぶ
)
は
當夜
(
たうや
)
の
華
(
はな
)
で、
私
(
わたくし
)
が
無藝
(
むげい
)
のために、
只更
(
ひたすら
)
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
いたのと
共
(
とも
)
に、
大拍手
(
だいはくしゆ
)
大喝釆
(
だいかつさい
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
わかったよ。君は、疲れている疲れていると言いながら、ひどく派手なんだね。いちばん
華
(
はな
)
やかな祭礼はお
葬
(
とむら
)
いだというのと同じような意味で、君は、ずいぶん好色なところを
雌に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
孫行者
(
そんぎょうじゃ
)
の
華
(
はな
)
やかさに圧倒されて、すっかり影の薄らいだ感じだが、
猪悟能八戒
(
ちょごのうはっかい
)
もまた特色のある男には違いない。とにかく、この豚は恐ろしくこの生を、この世を愛しておる。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
自分はちっとも飲めないと言ったが、それでも無理に二、三度は
猪口
(
ちょこ
)
を受取った。林之助も飲んだ。酒の酔いが若い二人を誘って、だんだんに明るい
華
(
はな
)
やかな方へ連れ出した。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わしもなんだかお
強
(
し
)
い申したようで気が置けるけれども、お前さんの頼みというのを聞いて上げますよ、さあ、わしの立てた趣向だから、わしに
初筆
(
しょふで
)
の
華
(
はな
)
を持たせておくんなさい
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは展覧を求める作ではないか。したがって個人の手になる通有の作は、あの素朴な日常の諸道具ではない。床に飾られる
華
(
はな
)
やかな置物に傾く。それは工藝の求める心ではない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
華
常用漢字
中学
部首:⾋
10画
“華”を含む語句
華奢
華美
華麗
曼珠沙華
華客
蓮華
法華経
華表
万華鏡
龍華寺
豪華
法華
栄華
華車
栄耀栄華
蓮華草
華族
法華寺
繁華
拈華微笑
...